課題名 | c.温暖地における油糧作物を導入したバイオマス資源地域循環システムの構築 |
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課題番号 | 2010014947 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,バイオマス資源循環研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,中山間耕畜連携・水田輪作研究チーム |
協力分担関係 |
岩手県農業研究センター 福島県農業総合研究センター 茨城県農業総合センター 長崎総科大 積水化学工業(株) 東京農大 |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2010 |
摘要 | 生産性の高いなたね・ひまわり品種の選定、安定栽培技術等の開発については、1)転換畑用ひまわり品種「春りん蔵」と「ハイブリッドサンフラワー」について、生育ステージごとに湛水試験を行い、前者は苗立ち期の湛水で収量が半減するため6月上旬までに播種する必要があることを明らかにした。後者は不定根を出すことにより減収が抑えられており、不定根の有無が耐湿性の指標となることを明らかにした。2)なたねの安定栽培技術については、小明渠播種機によるうね立て栽培で、播種量0.5kg/10a、10月中播種の有効性を実証する試験を行い200kg/10a以上の収量が得られることを明らかにした。また、耕作放棄畑への散播方式を検討し、ブロードキャスタ播種(播種量0.5kg/10a)後にカルチパッカ鎮圧を行う省力的・安定散播作業体系を確立した。中山間地域のひまわり・麦作付体系における窒素・炭素循環システムの経済性・環境性評価については、1)ひまわりを導入する水田転換畑の土壌管理技術として、暗渠等により地下水位を30cmにすると、地表付近のひまわりの根の発達やアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の活動活発化が見られ、ひまわりの生育と収量が向上した。2)ひまわりの機械化栽培技術として、20年度に開発したひまわり用1粒点播播種ロールを組み込んだ耕耘同時簡易畦立て播種技術体系化によって出芽・苗立ち・生育が向上することを現地実証し、現地に普及させた。また、収穫・調製ロスを低減するために汎用コンバインのヘッドの改良や選別調製の適正化等に取り組み、ヘッドロスを7.6%、選別ロスを5.9%まで低減した。3)ひまわり搾油残さの利用技術として、搾油残さ混合飼料の乳牛への給与によって、乳量・乳成分への影響なく、牛乳中の不飽和脂肪酸割合の増加や過酸化物価が低下し保存性が向上すること等の有効性を明らかにした。4)バイオマス資源の地域循環システムの経済性・環境性評価として、現地営農組合への導入可能性を試算し、ひまわり-麦作付体系に水稲と大豆を加えた組み合わせでは、輪作作物としての導入が可能な経済性維持に必要なひまわりの収量水準は、100kg/10a以上であることを明らかにした。油糧作物が地域活性化に及ぼす影響の解明については、1)油糧作物の栽培、多段階利用が地域活性化に及ぼす影響は、作物栽培だけではなく、搾油や製品販売も取り込むことで、収益と経済波及効果がそれぞれ4.5倍と6倍に増加することを明らかにした。なたねの多段階利用に関するLCAの結果、畑作では収量200kg/10a、廃食用油回収率30%が温室効果ガス排出削減の目安となることを明らかにした。 バイオマス利用の経済性向上については、1)なたね搾油は、マイクロ波予措技術により搾油率が1.2倍に、油の安定性が1.3倍に向上し、経済性でも有利であることを明らかにした。なたね等の超臨界炭酸ガス抽出は、高圧、低温ほど油分の抽出が速くなり、エントレーナ添加でさらに大きく向上することを明らかにした。2)作物残さの燃料化については、わら粉砕物に搾油残さを10%以上混合することにより成型性が向上し、ロータリー式燃焼炉で利用できることを明らかにした。 |
カテゴリ | 安定栽培技術 機械化 栽培技術 水田 耐湿性 炭素循環 中山間地域 土壌管理技術 なたね 乳牛 播種 ひまわり 品種 輪作 |