課題名 | 生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化 |
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課題番号 | 2011017561 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,病害虫 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,品種育成・病害虫 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,リンゴ (独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,生産環境 |
協力分担関係 |
理化学研究所BRC 神戸大学 岡山大学 岡山県農林水産総合センター農業研究所 北海道大 道総研工業試験場 雪印種苗(株) 北海道農材工業(株) (株)共成レンテム (地独)道総研研花・野菜技術センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2011 |
摘要 | 病原体汚染程度を判定するシステム開発については、a)ジャガイモモップトップウイルス汚染土壌を潅注接種し、ジャガイモ塊茎褐色輪紋病を効率的に発病させる実験系を作製した。b)コムギ縞萎縮ウイルスの媒介菌Polymyxa graminisの定量的検出法を確立し、感染抑制効果を示す拮抗微生物候補株を選抜した。c)土壌伝染性ウイルスを媒介するOlpidium属菌を効率的に検出するため、リボソーム遺伝子のタンデムリピート領域の塩基配列を決定した。 病原体による被害リスク評価法の開発については、トマト葉かび病菌でベンゾイミダゾール耐性菌株を見つけるとともに、培地上での各種殺菌剤感受性を確認した。 農薬代替技術の開発に関しては、a)亜硝酸処理することにより、トウガラシ類にかすり状えそ症状を引き起こすタバコマイルドグリーンモザイクウイルスの弱毒候補株を作出した。b)トマト黄化えそウイルスの強毒株を接種継代することにより、弱毒候補株を作出した。c)メロン微斑ウイルスと非病原性フザリウム菌をトマトに共接種することによりネコブセンチュウ類による被害が抑制されることを明らかにした。 シストセンチュウ類の防除技術としては、合成したふ化促進製剤(ソラノエクレピンA)は、圃場のジャガイモシストセンチュウ密度を処理量1~2kg/m2で70~80%低減できることを明らかにした(2011年農林水産研究成果10大トピックス)。 生物媒介性病害対策では、a)植物ウイルス感染植物をおとり植物として、ジャスモン酸メチル処理した保護対象植物の近傍に配置することにより、保護対象植物のアザミウマ類による被害を軽減できることを明らかにした。b)トマト黄化葉巻ウイルスMld系統のC1/C4遺伝子領域は、野生トマトが持つ抵抗性遺伝子Ty-2を打破する原因遺伝子である可能性を示唆した。 果樹病害を制御するために有望なマイコウイルスの糸状菌への遺伝子導入法については、a)プロトプラスト融合法は、リンゴ腐らん病菌及びクリ胴枯病菌で新たなマイコウイルス接種法として有効であることを明らかにした。b)パーティクルガン法により、紫紋羽病菌へのハイグロマイシン耐性遺伝子の導入に成功した。 トマト青枯病防除については、現地ハウス圃場試験で第2、3葉上の高接ぎ木が慣行と比較して高い防除効果があることを実証した。 ナシ白紋羽病温水治療技術の治療効果については、簡易な室内実験系において、温水熱によって死滅に至らなかったナシ白紋羽病菌が土壌微生物によって死滅に至る現象を示した。 臭化メチル代替技術の開発では、茨城県の農家圃場で、トウガラシマイルドモットルウイルス弱毒株(L3-163株)は等級別出荷量に悪影響を与えず、定植される苗の75%以上が弱毒処理苗であれば、100%と同等の防除効果を発揮することを示した(2011年農林水産研究成果10大トピックス)。 このほか、茶の病害研究では、静岡県牧之原台地の66圃場のうち17圃場で輪斑病防除剤(QoI剤)に対する耐性菌が検出された。これらの圃場では健全葉からも潜在感染した耐性菌が検出でき、発病葉が無くても薬剤耐性の発達レベルを評価可能であることを明らかにした。細菌研究では、イネ科雑草由来の非病原性Xanthomonas属細菌AZ98100,AZ98110から分離した派生株11-100-01及び11-110-01は、ハクサイ黒腐病及びトマト斑点細菌病の発病を抑制することを明らかにした。ウイロイド研究では、トマト退緑萎縮ウイロイド(TCDVd)、ジャガイモやせいもウイロイド(PSTVd)、トマトアピカルスタントウイロイド(TASVd)及びコルムネアラテントウイロイド(CLVd)の4種をそれぞれ接種した国内の主要トマト品種のほとんどが病徴を示すことを明らかにした。有機水耕で形成される根圏バイオフィルムの微生物群集構造の研究では、レタス栽培の耕水にはレタス根腐病菌の増殖を抑え、静菌化する効果があることを確認した。また、コーヒー粕の抽出物から生成される多量のヒドロキシラジカルはトマト青枯病菌を5分で死滅させることを明らかにした。 |
カテゴリ | 病害虫 害虫 くり 栽培技術 雑草 出荷調整 植物ウイルス 耐性菌 高接ぎ 茶 治療技術 抵抗性遺伝子 とうがらし トマト 農薬 はくさい ばれいしょ 評価法 品種 防除 メロン 薬剤耐性 りんご レタス |