課題名 | (1) 作物の物質生産・生長・分化・環境応答機構の解明 |
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課題番号 | 2011017632 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
研究分担 |
(独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット (独)農業生物資源研究所,植物科学研究領域,植物生産生理機能研究ユニット |
協力分担関係 |
国立大学法人東京大学 国立大学法人九州大学 国立大学法人東北大学 国立大学法人京都大学 国立大学法人名古屋大学 独立行政法人産業総合研究所 (株)グリーンソニア 公立大学法人福井県立大学 国立大学法人東京農工大学 富山県農林水産総合技術センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2011 |
摘要 | 1. 作物の生産性は、光合成能のみでなく、無機窒素を有機物に変換する能力(窒素同化能)にも大きく依存する。水田のような湛水環境に適応したイネはアンモニアを主要窒素源として利用する。様々なアンモニア条件で根の窒素同化能を比較したところ、根の窒素同化能は一定ではなく、根圏のアンモニア条件で大きく変動することがわかった。これは、アンモニアは根で同化されるという定説の再考を促す発見であり、今後、水田に適応したイネ独自の窒素同化メカニズムを明らかにすることで、窒素同化能や窒素利用効率の改良が可能となる。2. 子実の貯蔵タンパク質は食味、加工特性等、穀物品質に大きな影響を与える。イネ子実の主要貯蔵タンパク質のひとつプロラミンは、胚乳内に球状のタンパク質顆粒(PB-I)を形成し蓄積する。子実の登熟にともなうPB-Iの形成過程の解析と、プロラミンの一種、10-kDa Cys-richプロラミン(CysR10)を欠損した突然変異体の解析から、球状のPB-Iの形成にはCysR10が必須であり、CysR10がまず顆粒中心部に集積することによって球状PB-Iが形成されることがわかった。PB-Iの形成機構をさらに詳細に解析することで、コメの加工特性の人為的改変に結びつくと考えられる。3. イネの節間は栄養生長期には伸長せず、出穂期以降顕著な伸長を示す。赤色光受容体フィトクロムを欠損した突然変異体では栄養生長期でも節間が伸長することから、節間伸長制御へのフィトクロムの関与が示唆されていた。節間伸長に関与する植物ホルモン(エチレン、ジベレリン)の効果を野生型イネとフィトクロム三重変異体とで比較解析した結果、エチレンとジベレリンは、栄養生長期では地上部(葉身と葉鞘)の伸長を促進するが節間の伸長は促進しないこと、これはフィトクロムが節間特異的にホルモンによる伸長促進を抑制するためであることがわかった。この成果は、フィトクロム機能を介する草型の人為的改変につながると考えられる。4. イソアミラーゼはデンプンの側鎖(α-1,6結合)を切断するデンプン枝切り酵素である。イネのイソアミラーゼのひとつISA3は緑葉に蓄積したデンプンの分解に関与することがわかっていたが、子実における機能は未解明であった。ISA3の欠損変異体と発現抑制形質転換イネの解析から、ISA3が子実のアミロプラストの分裂に重要な役割を担うことを見いだした。これは、分裂にα-1,6グルカンが関与することを示すとともに、イソアミラーゼがデンプンの分解や合成以外の機能をもつことを示す発見である。5. 外部環境への応答・適応機構の解明に向け、水田で栽培したイネ葉の全遺伝子発現(トランスクリプトーム)の環境応答性の解析を進めた。これまでに概日時計(体内時計)遺伝子osgi変異体を用いた解析を行い、イネ全遺伝子の半数以上の発現リズムが概日時計で制御されていることを明らかにした。また、田植え日を遅らせた栽培実験により、最適とはいえない栽培環境条件では概日時計が収量性の確保に重要な役割を担うことを明らかにした。これは、イネ収量における概日時計の役割を明らかにした画期的な成果である。 |
カテゴリ | 加工特性 水田 良食味 |