課題名 | (2) 作物の感染応答機構の解明と複合病害抵抗性育種素材の開発 |
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課題番号 | 2011017637 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
研究分担 |
(独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット (独)農業生物資源研究所,遺伝子組換え研究センター,耐病性作物研究開発ユニット |
協力分担関係 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 学校法人近畿大学 (独)国際農林水産業研究センター 国立大学法人京都大学 国立大学法人筑波大学 国立大学法人東北大学 首都大学東京 北興化学工業(株) 国立大学法人名古屋大学 独立行政法人理化学研究所 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2011 |
摘要 | 1. 複合抵抗性を制御する転写因子WRKY45は、イネのジテルペン型ファイトアレキシン(抗菌物質)であるモミラクトンおよびファイトカサン類の合成遺伝子の転写を制御している。WRKY45過剰発現イネでは、いもち病感染後にこれらのファイトアレキシンが非形質転換体より速やかに蓄積すること(プライミング効果)がわかった。WRKY62はWRKY45の標的遺伝子にコードされている転写抑制因子である。WRKY62抑制イネを用いた解析の結果、モミラクトンおよびファイトカサンの合成に関わる8遺伝子の抵抗性誘導剤BTHによる発現誘導がWRKY62にも依存していることがわかり、両転写因子がこれらの抗菌物質の合成を制御していることがわかった。また、WRKY62はいもち病抵抗性の制御に正に関与していることがわかった。2. ミュータントパネルを利用したスクリーニングにより、日本晴の真性抵抗性(R)遺伝子Pi19 の変異によって真性抵抗性を発動できない2 系統の変異体を選抜した。マップベース法で原因遺伝子を単離した結果、NBS-LRR等の既知のR遺伝子様構造をもたず、また他の既知のドメインとの相同性をもたない遺伝子が特定された。イネ科にのみ相同遺伝子が存在したことから、既知の病原体認識機構やシグナル伝達とは異なるイネ科固有の病原菌感染認識機構の存在が示唆された。3. 広範な病害に対する抵抗性遺伝子BSR1を過剰発現させたイネは、いもち病および白葉枯病に対して極めて強い抵抗性を示す。BSR1過剰発現イネのマイクロアレイ解析の結果、BTH誘導性遺伝子の約4割、いもち病感染初期応答遺伝子の約4割において発現上昇が認められた。またWRKY45の発現も約10倍に増大していた。このことからBSR1過剰発現イネにおける耐病性の少なくとも一部は、WRKY45 を介するサリチル酸経路によることが示された。またBSR1タンパク質がin vitroでリン酸化酵素活性を持ち自己リン酸化されることを明らかにした。4. 穂いもち抵抗性遺伝子Pb1の抵抗性がWRKY45に依存していることをこれまで報告した。今回、アミノ酸変異によりWRKY45結合性を失わせたPb1の過剰発現体はいもち病抵抗性が増強されないことからPb1とWRKY45がいもち病抵抗性発現に必要であることが示された。また、核排出シグナルを付加したPb1の過剰発現体でもいもち病抵抗性が増強されないことから、Pb1の核局在がいもち病抵抗性発現に必要であることが示された。5. いもち病菌は感染時に細胞壁成分を変え、イネの防御機構を回避する機構をもつことが示唆されている。キトサナーゼは植物では同定されていないため、桿菌由来のキトサナーゼ(Cho1)でいもち病菌を処理したところ、付着器形成が強く阻害され、感染過程のいもち病菌の細胞壁表層にはキトサンが露出していることが強く示唆された。また、Cho1を細胞外に恒常的に発現するイネでは、いもち病菌侵入部位の過酸化水素生成が亢進し、いもち病抵抗性が向上することを示した。6. 低発現恒常的OsUbi7プロモーターおよび感染誘導性GSTプロモーターによるWRKY45発現ベクターを導入した飼料イネ“たちすがた”系統のT2ホモ系統を確立し、生物多様性評価データを添えて隔離ほ場栽培の許可申請を行った。また、WRKY45発現のための感染誘導性プロモーターとしてさらにすぐれたものを見出し、白葉枯病およびいもち病に対する強い抵抗性と生育に対する影響が小さいことを確認した。 |
カテゴリ | 育種 いもち病 抵抗性 抵抗性遺伝子 病害抵抗性 |