課題名 | 高商品性ブドウ・カキ品種の育成と省力生産技術の開発 |
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課題番号 | 2012020373 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
薬師寺博 |
協力分担関係 |
島根農業技セ 新居浜工業高等専門学校 大塚化学 山梨果試 京都大 近畿大 奈良農総セ 愛媛農水研果樹センター 第一包装株式会社 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2012 |
摘要 | 結実性・日持ち性が良い良食味完全甘ガキ品種の育成に関しては、a)平成20年度から開始された第7回系統適応性検定試験に供試された4系統(安芸津22~25号)の樹勢及び果実特性を調査した結果、「安芸津23号」は小果で樹勢が弱いことが明らかとなったため試験を中止し、その他の系統は継続調査と判定した。「安芸津24号」の汚損果は、秋季の雨よけ栽培により発生を抑えられた。b)DNAマーカー選抜によって完全甘ガキと選抜された実生群のうち、有望と思われる4系統について果実品質を調査し、高単為結果性、大果で裂果がなく多汁性など優れた点が認められ、次期系統適応性検定試験候補とした。c)カキ育種において官能によるスコア評価を用いた柔軟・多汁な実生個体の出現率は、一般化線形モデルにより推定でき、両親の果肉硬度及び多汁性の平均値が中程度の交配組合せからでも、柔軟・多汁な実生個体はそれぞれ平均10%程度出現することを明らかにした。 カキわい性台木の選抜に関しては、a) わい性台木候補系統(「No.3」、「SH11」、「S22」)は、6月の緑枝挿し木で繁殖可能であり、特に「SH11」で良好であることを確認した。発根率は、挿し穂の葉数を2枚にし、IBAを2回処理することで向上することを明らかした。b)慣行栽培したわい性台(「No.3」、「SH11」、「S22」台)の「富有」は、共台に比べて総作業時間で比較すると、「No.3」で39%、「SH11」で48%、「S22」で47%削減できることを明らかにした。c)わい性台利用樹のいずれの候補系統も果実は300g程度あり、特に「No.3」及び「SH11」の果実は対照(共台)より有意に大きいこと、果皮色は共台及びわい性台木系統間に差はなく、糖度はわい性台木区が対照区より高い傾向を認めた。 ブドウの系統評価及び新たな交雑種子の獲得、交雑実生の特性調査に関しては、a)植え付け3年目の「安芸津28号」、「安芸津29号」、「安芸津30号」の全ての系統で初結実に至った。若木のため果粒重はやや小さかったが、果肉硬度、糖度、酸含量及び香気等の果実形質は、選抜目標を満足するものであることを確認した。b)交雑実生1,816個体を選抜圃場で育成し、特性評価の結果、24個体を注目として選抜し、282個体を淘汰、1,510個体は継続調査とした。c)ブドウ黒とう病抵抗性を有するブドウ遺伝資源の探索として、野生ブドウVitis amurensis、V. coriacea、エビヅルと栽培品種間で種間交雑を実施し、合計1,700粒の種子を獲得した。d)ブドウ果皮アントシアニン含有量に関連するDNAマーカーの開発を行い、QTL解析によって、第8連鎖群及び第14連鎖群にアントシアニン含有量に関与する新規QTL候補を検出した。 このほか、a)カキにおいて前年のジベレリンの茎葉処理により翌春の着らい数を半減させるには、「平核無」では5月の50~100ppm処理、「富有」では6月の50~100ppm処理が有効であることを明らかにした。b)ブドウの着色向上技術として、気温の低下する夜間の光照射が有効であり、着色関連遺伝子の累積発現量も増加することを明らかにした。 |
カテゴリ | 育種 遺伝資源 かき 挿し木 台木 単為結果 茶 DNAマーカー 抵抗性 繁殖性改善 びわ 品種 ぶどう 良食味 |