果樹におけるDNAマーカー育種のための高度基盤技術の開発

課題名 果樹におけるDNAマーカー育種のための高度基盤技術の開発
課題番号 2012020378
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 山本俊哉
清水徳朗
協力分担関係 東京大
生物研
岡山大
名古屋大
鹿児島大
静岡大
国立遺伝研
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 DNAマーカーを用いたニホンナシやカンキツの高精度遺伝子の地図を構築に関しては、a)「豊水」のゲノム配列約120万リード及びEST配列約50万リードから、合計1,536カスタムSNPアレイを設計し、609のSNPマーカーを連鎖地図上にマッピングした。b)レトロトランスポゾン挿入多型に基づくニホンナシの品種特異的DNAマーカーを22種類開発した。22種類のうち3種類を利用して「豊水」を他の品種から識別するとともに、ゲノムワイドなDNAマーカーとして利用可能である。c)ニホンナシ葉緑体ゲノムの全塩基配列を決定した。ニホンナシ「豊水」の葉緑体ゲノムの全塩基配列は、159,920塩基対から構成され合計113の遺伝子をコードし、リンゴやモモの葉緑体ゲノムと比較してニホンナシ特有の多型領域が存在することを明らかにした。d)カンキツの発現遺伝子配列情報とスイートオレンジの部分ゲノム配列情報から、2塩基以上の単純反復配列が3回以上繰り返している領域(SSR)を、それぞれ144,000件と382,000件見出した。e)カンキツの268個のSNP遺伝子型を迅速に決定できるアレイを開発した。268個のSNPマーカーにより、カンキツ97品種・系統及び88交雑個体の遺伝子型判定が利用可能であり、カンキツのDNAマーカー育種の促進に利用できる。f)カンキツ11品種のゲノム解読情報から品種間多型を288~807万件抽出し、連鎖地図と全配列の対応付けを基に184個のDNAマーカーを設計して評価した結果、105~109個のDNAマーカーが3集団で多型を示し、マーカー化効率は約2倍に向上した。
遺伝子発現情報やゲノム配列と関連づけた一層の高精度化に関しては、a)「豊水」から作成した完全長cDNAの5’ESTシーケンスライブラリ、3’ESTシーケンスライブラリ、ショットガンライブラリをシーケンス解析し、それぞれ約21万リード、約81万リード、約67万リードの遺伝子配列情報を得た。b)43,041種類のニホンナシ遺伝子に対応するプローブを設計し、マイクロアレイを作成した。従来のナシマイクロアレイ(非重複で9,812遺伝子搭載)よりも網羅性が高く、ナシの重要形質に関わる遺伝子の同定が可能である。c)公的遺伝子情報データベースに登録されているカンキツの発現遺伝子情報(EST)のうち、67.6~81.9%がモデル植物の既知遺伝子と相同性を示し、そのうちスイートオレンジの部分ゲノム配列中に見いだされるのは86.1%であることを明らかにした。d)発現遺伝子情報から設計したDNAマーカーを基にカンキツの全配列と連鎖地図とを関連づけるとともに、ジベレリン生合成経路遺伝子を連鎖地図に対応づけた。e)異なる休眠状態のニホンナシ葉芽での遺伝子発現をマイクロアレイ法によって網羅的に解析した結果、加水分解酵素遺伝子群や光応答関連遺伝子群などの発現量が異なっていることを見出した。
結実性、果実形質、病害抵抗性などと関連するDNAマーカーとその利用技術の開発に関しては、a)チュウゴクナシ「蜜梨(ミーリー)」の持つニホンナシ黒星病抵抗性の連鎖マーカーを獲得するとともに、それがチュウゴクナシ「紅梨(ホンリー)」の黒星病抵抗性と同じ第7連鎖群の上部末端に位置することを明らかにした。b)11種類のS対立遺伝子(S1-S9、Sk、S4sm)を特異的に検出するプライマーを新たに設計した。その結果、11種類のS対立遺伝子全てを特異的に検出するプライマーの開発に成功した。c)ブンタン由来のカンキツかいよう病抵抗性、多胚性、無核紀州型無核性、カラタチ由来CTV抵抗性遺伝子座(いずれも質的遺伝子)を連鎖地図に位置づけた。d)カンキツの果実肥大・単為結果性に関わる因子の解明において、ジベレリン合成関連遺伝子8種類のcDNAをモデル植物に導入し表現型を解析したところ、CuGA20ox1/ox2は茎の伸長促進効果、CuGA2ox-likeは茎伸長及び開花時期の抑制効果を示した。e)DNAマーカーによる品種識別を効率化する3つのソフトウエア、MinimalMarker(Ver.2)、MarkerToolKit、MixAssortを開発し、果樹研ウェブサイトで公開した。f)ナシでの単為結果性の評価とマイクロアレイ法を活用した単為結果性機構の解析の結果、セイヨウナシ由来の単為結果性はニホンナシに導入することが可能であること、フェニルプロパノイドや葉緑体関連遺伝子群の単為結果性への関与が示唆されることを明らかにした。
このほか、 SSRマーカーによる日本のパインアップル品種のDNA品種識別技術を開発した。独自に開発した18種類のSSRマーカーにより、沖縄県で育成された7品種を含む合計31のパインアップル品種・系統のDNA品種識別が可能であった。
カテゴリ 育種 黒星病 単為結果 データベース DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 病害抵抗性 品種 ぶんたん もも りんご その他のかんきつ

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