有機農業の成立条件の科学的解明と栽培技術の体系化

課題名 有機農業の成立条件の科学的解明と栽培技術の体系化
課題番号 2012020392
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 三浦重典
中山壮一
協力分担関係 カネコ種苗
雪印種苗
東京農工大
青森産技セ
弘前大
愛媛農水研
茨城農研
株)出光興産
農環研
岩手県農研セ
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 水田作、畑作における有機輪作モデル体系の構築に関しては、a)米ぬか施用によるコナギ抑草効果は、土壌条件や施用量によって変動するが、水稲の作期が遅いほど安定し、土壌溶液の電気伝導度(EC値)と高い相関があることを明らかにした。b)移植時の米ぬか散布(50~60kg/10a)は、水管理が適切であれば機械除草等との組み合わせにより雑草を効果的に抑制することを示した。有機水稲モデル体系を基本とした現地実証試験では、欠株率がやや高かったものの、技術導入区で慣行区と同等の玄米収量を達成した。生産コストも慣行栽培(都府県15ha規模)と同等程度と判断した。c)エンバク野生種栽培によるネグサレセンチュウ密度低下率は慣行農家圃場で70~97%と高く、有機農家圃場では変動が大きいことを示した。d)レタス有機栽培でトンネル被覆にUVカットPOフィルムを用いると、通常のPOフィルムを用いた場合と比べて菌核病の被害が軽減され、レタスの生育、結球重及び品質の低下は認められないことを明らかにした。また、太陽熱処理技術による雑草抑制効果を確認した。e)有機質肥料(コーンスティープリカー:CSL)を用いたレタスセル育苗において、もみ殻くん炭で培土表面を覆土することにより、苗の生育が乾物重で1.5倍程度促進することを示した。この効果は、くん炭覆土により育苗培土中の硝酸態窒素が増加することに起因しており、CSL以外の有機質液肥施用下でも認められることを明らかにした。
有機農業の生産技術体系の構築に関しては、a)岩手県一関市現地圃場において、改良籾殻灰(籾殻灰に消石灰等を添加し粒状化したもので、アルカリ化によりケイ酸溶出の促進効果あり)の追肥施用により割れ籾の発生が減少し、カメムシ類による斑点米被害が3~6割抑制されることを確認した。穂いもちも3割程度抑制される傾向にあった。b)南九州地域の有機畑輪作体系(根菜類-サツマイモ畦連続栽培)における肥培管理技術と緑肥間作技術については、ダイコン栽培前に焼酎廃液濃縮液を年1回施用するのみでダイコン、サツマイモとも3年間慣行栽培と同等の生産性を維持でき、本体系の有効性を示した。特に、濃縮液由来のカリはダイコン作後も残存し、サツマイモの塊根肥大に寄与していると考えられた。その他の土壌理化学性は1年単位でみると大きな変動はないが、経年的にはpH、可給態リン酸、交換性石灰及び苦土が低下する傾向にあることを示した。また、畦間部分へのエンバク間作のセンチュウに対する抑制効果は認められなかった。なお、これまでの成果をとりまとめ、暫定的な栽培マニュアルを平成25年3月に公表した。
有機農業の持続性評価手法の開発については、水稲作・畑作・野菜作に関するデータを収集し、農業生産プロセスや関連する資材生産プロセス等のモジュールを作成してSimaPro 7.3上の農業LCIデータベース(JALCAデータベース)に組み入れた。JALCAデータベースに基づく計算結果と産業連関表から得られる温室効果ガス排出係数を用いる簡便法の計算結果を比較し、後者では、温室効果ガス排出量が過剰に推計され、バラツキも大きくなる傾向にあることを示した。
このほか、有機野菜栽培マニュアルとして「有機栽培を目的としたジャガイモ病害対策の手引き」をとりまとめた。
カテゴリ 病害虫 肥料 土づくり 有機栽培 有機農業 育苗 カメムシ コスト 栽培技術 雑草 除草 水田 だいこん データベース ばれいしょ 斑点米 肥培管理 水管理 野菜栽培 輪作 輪作体系 レタス

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