課題名 | 健康機能性に関する成分分析法及び評価法の開発と標準化 |
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課題番号 | 2012020425 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
八巻幸二 沖智之 |
協力分担関係 |
国立健康栄養研究所 大阪大学 静岡大学 東京大学 広島大学 北海道立総合研究機構 宮城県農業園芸総合研究所 ヱスビー食品株式会社 都内公立病院 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2012 |
摘要 | 機能性成分の分析法の標準化に関しては、a)平成23年度に作成したタマネギ中のケルセチン分析法について、標準作業手順書に基づく室間共同試験を実施して分析法の妥当性の確認を行った。妥当性が確認されたケルセチン分析法により、タマネギ中のケルセチン量を一定に調製したヒト介入試験用試料を作成した。b)平成23年度作成したAOAC法に準拠したダイズ及びダイズ食品中のイソフラボン分析法について、標準作業手順書を改良し、6研究室で室間共同試験を実施して分析法の妥当性確認を行った。配布した3種類の試料でHorRat値がいずれも0.5以上2以下に収まり妥当性を確認できた。c)カロテノイド分析法について、果実・野菜8品目の凍結乾燥品を用いて妥当性確認を行い、ほとんどの試料において、HorRat値0.3以上1.3以下に収まり単一試験室で妥当性を確認できた。d)紫サツマイモ中のアントシアニン分析法について、室内再現精度の確認を行い、併行相対標準偏差は1.3~2.6%、室内再現相対標準偏差は2.0~2.8%の範囲であり、良好な室内再現精度を得た。e)豆類中の総プロアントシアニジン分析法について、分析条件を最適化した後、添加回収率が96.1~97.9%の範囲であることを確認し、標準手順書のプロトタイプを作成した。f)ソバ粉中のルチン分析法について、80%エタノール抽出液の可視・近赤外吸収スペクトルを用いてHPLC分析値と誤差3.5μg/mlで予測可能とした。 機能性評価法の標準化に関しては、a)親水性酸素ラジカル吸収能測定法(H-ORAC法)について、室間共同試験にて妥当性を確認して標準化した。一重項酸素吸収能測定法(SOAC法)について、分光光度計(6連セル)を用いた方法により、機種特異性の確認とカロテノイド試料の安定性試験を行い、妥当性確認に用いる試料を選択した。b)糖尿病血管障害予防効果などを評価するのに活用可能な新規生体内因子2種類を特定した。c)ゼラチン-グルコース混合物では、AGE生成量は表面からの蛍光強度及び吸光度と時間に対して線形であることを確認した。ゼラチン-グルコース混合物のAGE生成に伴う局所粘度変化は、ナノ粒子をプローブとすることで計測を可能とした。 機能性成分や機能性評価値のデータベース化に関しては、a)黒ダイズを煎り調理後、総アントシアニン量は45~62%にまで減少することを確認した。紫サツマイモ中のアントシアニン量は、品種間で730~13,180μg/gの範囲で分布しており、品種内で2.3~4.5倍の差があることを明らかにした。b)親水性酸素ラジカル吸収能測定法(H-ORAC法)を用い、宮城県での生産量の高い10品目野菜を、全国から月1~2回収集し、抗酸化能を測定した。また、野菜工場生産パプリカ・トマト等の品種・栽培時期・栽培方法による抗酸化能、パプリカの抗酸化能の貯蔵による変化等を評価した。効率の高い抽出法を構築し、裸麦8品種・系統の親油性酸素ラジカル吸収能(L-ORAC)及びH-ORACの測定を行った。L-ORAC値はモチ性の品種・系統が高く、H-ORAC値は有色系の品種・系統が高い傾向であり、プロアントシアニジンフリー品種では、H-ORAC値は低値であることを明らかにした。c)ORAC値のデータ蓄積はカキ11品種、ナシ10品種、リンゴ30品種となった。平成23年採取した果実のうち、リンゴのH-ORAC値が他の2果実よりも高値を示すことを明らかにした。カンキツ、ブドウの測定を実施中である。d)ホウレンソウでは、茹で加熱時間が長くなるにつれてH-ORAC値は低下し、L-ORAC値と硝酸、水溶性シュウ酸含量は15~30秒までは減少するが、それ以後はほとんど変化しないことを見出した。ホウレンソウの夏期高温栽培では、多肥区と栽培期間延長試験区H-ORAC値は大きくなり、L-ORAC値は栽培期間延長試験区が高くなること、硝酸含量は、多肥区と遮光区で増加し、水溶性シュウ酸含量は、栽培期間延長試験区が最少であることを明らかにした。e)L-ORAC分析法を一部改良し、キャベツ、タマネギ、ニンニク、ラッキョウのORAC値のデータを収集した。f)農作物機能性成分データベースの充実のため、育成茶系統群や茶を使った調理品でのカテキン類、ストリクチニン類の含有量を測定し、データを収集した。g)平成24年産サツマイモ葉身についてサンプル収集し、果樹研にて作成されたカロテノイド分析法手順書について条件検討を行い、室間試験を開始した。h)バレイショのゼアキサンチン(6品種、計25点)、紫黒米のアントシアニン(9品種、計28点)、ごまのセサミン(3品種、計52点)、カンキツのβ-クリプトキサンチン(21品種、計24点)、黒ダイズのアントシアニン(4品種、30点)、ダッタンソバのルチン(3品種、6点)及び茶のメチル化カテキン(1品種、5点)の分析データを収載し、平成23年度収載の2品目と合わせ収載情報は9品目9成分となった。i)「ニュートリゲノミクス機能性評価データベース」の公開に向けて、論文発表済みのDNAマイクロアレイデータを遺伝子発現バンクGEOに登録し、食品成分既存データ等を含めたアーカイブを公開した。j)ケルセチン添加食の機能性効果の再現性を検討した結果、ケルセチンの機能性の発揮する適正摂取量は0.3~1.0%含有食であることを明らかにした。 |
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