新需要創出のための生物機能の解明とその利用技術の開発

課題名 新需要創出のための生物機能の解明とその利用技術の開発
課題番号 2012020436
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 北村義明
協力分担関係 北海道大学大学院農学研究院
東北大学大学院農学研究科
慶応義塾大学大学院理工学研究科
京都大学大学院農学研究科
国立循環器病センター
茨城県工業技術センター
天野エンザイム(株)
月桂冠(株)
長瀬産業(株)
雪印メグミルク(株
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 生物機能探索のための解析・評価技術の開発と多様な生命現象の解明に関しては、a)食品蛋白質等の会合特性の解明並びに受容体制御機構の解析については、結晶化やNMR構造解析が困難な食品関連糖蛋白質であるプロテオグリカン及び牛顎下腺ムチンは、生理的条件と変性剤共存下のどちらの分離溶出時にも、ランダムコイル構造をとることを溶液X線散乱クロマトグラフィー法により明らかにした。b)動脈硬化発症に重要な役割を担う酸化LDL受容体(LOX-1)は、2量体となった後、細胞膜上でクラスターを形成して酸化LDLの認識能を発揮するが、細胞膜上の脂質ラフト領域へLOX-1が集結することにより、このLOX-1クラスターが形成されることを明らかにし、LOX-1の機能制御のためには脂質ラフト構造が重要な標的となることを示した。c)出芽酵母において、慢性及び急性の酸化ストレス条件下で過剰発現し、その耐性・感受性に影響を及ぼす遺伝子候補を多数明らかにした。また、大腸菌の5-メチル-2-チオウリジン修飾関連酵素への変異導入により、tRNA修飾活性を消失する変異体は全て酢酸感受性を示すことを明らかにし、大腸菌における酢酸感受性とtRNA修飾の相関を確認した。d)枯草菌のテトラサイクリン耐性機構の解明において、耐性遺伝子(tetB)の局所的遺伝子重複に起因するが、tetB遺伝子重複株では、テトラサイクリンを含まない非選択培地上では、遺伝子コピー数が低下することを確認し、遺伝子コピー数が環境に応じて適切に維持されていることを明らかにした。e)Aspergillus oryzae RIB40において、重金属ストレスにより、細胞内グルタチオン量の一時的上昇が確認されるなど、グルタチオン量が環境ストレスの影響を受けることを明らかにした。f)トマト果実の生理機能特性に関わる遺伝子の制御機構を解析した結果、成熟制御因子RINと複合体を形成するLeFUL1とLeFUL2が、エチレン合成遺伝子やRIN及びLeFLU1自身のプロモーター部位に結合するなど、成熟期の果実細胞内で機能していることを示した。
微生物の代謝機構解明を通じた発酵食品の開発と新規食品素材の製造技術の開発に関しては、a)非組換酵素によるミルクオリゴ糖の大量調製について、遺伝子組換え酵素不使用の製造方法を検討し、選抜したビフィズス菌抽出液を用いた同オリゴ糖製造法を確立するとともにkg単位での試製に成功した。また、複合酵素系によるオリゴ糖生産技術の開発ではATP再生系の各種条件検討により、ガラクトース1リン酸生成におけるATPの再生回数を平成23年度達成の更に7倍にまで増加することができた。b)酵母及び乳酸菌の相互作用強化変異株の分離とその特性解析及び発酵微生物の系統解析技術について、酵母と乳酸菌の相互作用を検証し、サワー種から分離した乳酸菌1株に酵母による生育促進を見出すとともに、相互作用を有する酵母と乳酸菌について、相互作用が強化あるいは消失する変異株を分離した。加えて、乳酸菌とキシラン相互作用解析の結果、本作用は乳酸菌の最表層に存在する細胞表層タンパク質などの関与を明らかにした。c)日本の納豆菌株及びアジア納豆様食品分離株の比較系統解析を行い、発酵特性評価と照合の結果、発酵と関連性があると思われる候補遺伝子を抽出するとともに、物質生産能力等の解析結果から納豆用新規スターター候補株を選択した。d)発酵不良納豆から分離された納豆菌バクテリオファージΦNIT1の感染関連遺伝子の解析を進めた結果、納豆菌が菌体外に生産する粘り物質であるLevanの加水分解酵素と相同性を持つLevP遺伝子産物が、Levan分解能を持つことを確認した。
カテゴリ 加工 くり トマト 評価法

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