| 課題名 | ① 作物の物質生産・生長・分化・環境応答機構の解明 |
|---|---|
| 課題番号 | 2012020458 |
| 研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
| 研究分担 |
宮尾 光恵 石川 雅也 市川 裕章 井澤 毅 稲垣 言要 川越 靖 石丸 健 岩本 政雄 馬場 晶子 千徳 直樹 伊藤 博紀 村松 昌幸 |
| 協力分担関係 |
国立大学法人京都大学 国立大学法人東北大学 国立大学法人東京大学 国立大学法人九州大学 国立大学法人名古屋大学 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 (株)アースノート 国立大学法人岡山大学 (独)農業環境技術研究所 富山県農林水産総合技術センター |
| 研究期間 | -4 |
| 年度 | 2012 |
| 摘要 | 1.イネ属特有の代謝酵素、葉緑体型PEPCは、水田のような環境に適応するための酵素で、根から吸収したアンモニアの同化に重要な役割を担っている。緑葉の光呼吸は、光合成炭酸固定酵素が酸素と反応し生成した産物を代謝する経路で、経路内でアンモニアを生成し再同化する。葉緑体型PEPCの働きを抑えると光呼吸で生成したアンモニアが再同化されずに大気中に放出されることがわかり、本酵素が緑葉内のアンモニアの有効利用に必要であることが示された。 2.イネの生産性とソース能に関わる染色体領域を複数特定した。HI6は収穫指数(植物全体の乾物重に対する収穫物の重量比)に関与する領域で、インド型イネ・カサラス由来のHI6が、穂重は変えずに植物体下部を小型化させることで、コシヒカリの収穫指数を1.3倍に増大させることがわかった。LA7は止葉の葉面積に関与する領域で、インド型イネNona Bokra由来のLA7がコシヒカリの止葉面積を1.5倍に拡大した。葉面積当たりの光合成速度は変わらないことから、LA7の利用で止葉のソース能を向上できることが示された。 3.植物は傷害を受けるとジャスモン酸(JA)を介して細胞分裂を抑制する。JA応答系の負の制御因子TIFY/JAZタンパク質TIFY11bを過剰発現させると、葉身と稈の伸長の他、胚乳が肥大し玄米が大きくかつ重くなる。葉身の伸長は細胞分裂の促進に起因すること、過剰発現イネでは稈と葉鞘の炭水化物蓄積が顕著に増えることがわかり、葉身の伸長がソース能を高め、玄米を重くする可能性が示された。これは、ソース器官の拡大が玄米重の増大に結びつくことを示す知見である。 4.イネを暗所で発芽させると主に葉鞘が伸長し苗が徒長する。光による葉鞘の伸長抑制メカニズムを調べ、青色光受容体のひとつクリプトクロム1(cry1)がジベレリン(GA)を不活性化させる酵素遺伝子群の発現を促進し、活性型GAを減少させ葉鞘の伸長を抑えること、イネでは赤色光受容体フィトクロム(phy)もGA関連酵素遺伝子群の発現を制御し葉鞘の伸長を抑えることがわかった。この成果は、光受容体機能を介する草丈の人為的改変につながると考えられる。 5.イネの3種類のフィトクロム(phyA、B、C)のうち、phyAは光照射で速やかに分解される。暗所芽生えではphyA遺伝子はほぼすべての組織で発現するが、明所では維管束でのみ発現すること、これは、幼苗期にはphyBが、成長後はphyAとphyBが協調的に働き、維管束以外でのphyA遺伝子の発現を抑えるためであることがわかった。この結果は、phyどうしの相互作用を介して各組織の赤色光応答が制御されることを示す初めての知見である。 6.水田で栽培したイネ葉の全遺伝子発現に対する外部環境変動の影響を統計モデリングにより解析した。環境変動の影響を受ける遺伝子の多くが気温の影響を強く受けること、光の影響を受ける遺伝子の多くが非常に弱い光に敏感であること等、各遺伝子の外部環境変動への応答を特徴付けることができた。この情報を元に、気象データとイネの栽培条件から個々の遺伝子の発現を推定できるシステムを構築した。このシステムにより日本各地での遺伝子発現を推定できる。また、猛暑、冷夏等のデータと比較することで、不良環境による障害に関わる遺伝子の同定が可能となり、栽培診断や育種のための「生育マーカー」、「農業形質マーカー」の開発につなげることができる。 |
| カテゴリ | 育種 くり 栽培条件 水田 |