生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化

課題名 生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化
課題番号 2014025563
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 津田新哉
奈良部孝
伊藤伝
中畝良二
協力分担関係 理研BRC
和歌山県うめ研究所
ワーゲニンゲン大
愛知県農業総合試験場
静岡県農林技術研究所果樹研究センター
岡山県農林水産総合センター農業研究所
静岡大学創造科学技術
クミアイ化学
岐阜県西濃農林事務所
大分県農林水産研究センター花き研究所
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 病原体汚染程度を判定するシステム開発に関しては、
a) 開発した汚染程度評価法を用いて国内各地より収集したジャガイモモップトップウイルス陽性土壌試料39点の発病リスクを検定したところ、土壌のウイルス汚染程度に比例して高リスクが7点、低リスクが7点、極低リスクが25点に分けられた。これにより、本評価法の有効性が確認された。
b) 土壌中のコムギ縞萎縮ウイルス濃度を測定するための検出法として、砂耕栽培のコムギを指標植物として用い、イムノキャプチャー(IC)-RT-PCR法でコムギ縞萎縮ウイルスを検出する方法を確立するとともに、ウイルスの病原性示すゲノム配列の存在を明らかにした。抵抗性誘導剤と拮抗微生物を併用することで、媒介微生物の感染抑制効果も確認した。
c) 開発した植物ウイルス媒介菌オルピディウムの汚染程度判定法を用いて、現地圃場で主要3種オルピディウム菌の定量を行ったところ、オルピディウム菌量と媒介されるウイルス病発病程度には相関は認められず、病原ウイルスと媒介菌の量的関係も把握する必要があることが分かった。
病原体による被害リスク評価法の開発に関しては、
d) 植物体上での反応と整合性があるチャ輪斑病菌のストロビルリン系殺菌剤(QoI剤)耐性識別法(煮沸チャ葉法)を確立した。それを高精度化するためにステロール脱メチル化阻害剤(DMI剤)の一種であるフェンブコナゾールを用いると、チャ輪斑病菌の生育に影響を及ぼすことなく雑菌が抑制され、QoI剤耐性菌の検出効率が上がることを認めた。
e) 葉かび病菌のDMI剤耐性を識別するPDA培地検定法の識別結果は、ベンゾイミダゾール系、トリホリンを除くDMI剤に対して植物体上での反応と一致することを確認した。また、葉かび病菌の簡易レース評価法を開発するために必要な全ての非病原性遺伝子配列を明らかにした。
農薬代替技術の開発に関しては、
a) 開発したタバコマイルドグリーンモザイクウイルス弱毒候補株1、3及び4を接種した伏見甘長とうがらしを汚染圃場に定植して慣行栽培に従って栽培したところ、弱毒株3及び4は無病徴であった。ホオズキでは弱毒株1及び4が無病徴で生育阻害もなかったことから、弱毒株4がワクチンとして最も有望と判断した。
b) ジャガイモシストセンチュウのふ化促進物質製剤として合成した世界初のソラノエクレピンAは、現地圃場への散布により処理後2か月で被害許容水準以下までジャガイモシストセンチュウ密度を低減させることを確認した。また、ジャガイモシストセンチュウ密度を低減させるナス科対抗植物を利用した耕種的防除法を開発した。
c) 簡易線虫モニタリング手法として、線虫群集中に存在するネグサレセンチュウ類とネコブセンチュウ類を識別する検定法を開発した。また、低密度でもジャガイモシストセンチュウを検出できる手法、土壌中の密度や抵抗性打破を判定できるダイズシストセンチュウ検定法も開発した。
生物媒介性病害対策に関しては、
a) 虫媒性欠損トマト黄化えそウイルス株を接種した植物は、ミカンキイロアザミウマを誘引し、健全植物へのウイルス伝染速度を遅らせることを明らかにした。生物間相互作用を担う因子として、植物ホルモンのサリチル酸やトマト揮発成分のカリオフィレンを確認した。
b) 果樹病害を制御する生物防除法については、野外試験において、マイコウイルスを保有する和合性菌を処理することにより白紋羽病の発病が抑制されることを検証した。同様に、マイコウイルス保有菌の接種によるリンゴ腐らん病の病斑伸展抑制効果を検証した。
臭化メチル代替技術の開発に関しては、
a) トマト生産圃場において、高接ぎ木等の新規接ぎ木栽培は慣行接ぎ木栽培と比較して青枯病に高い防除効果を示すこと、果実収量や品質等の栽培特性に差がないことを明らかにした。また、スキムミルク溶液での抽出と抗生物質を含むバッファーによる増菌等を組み合わせる土壌からの青枯病菌の効率的な検出・定量法を開発した。
b) 有機質肥料活用型養液栽培法では、人畜病原菌(サルモネラ)が水耕に混入しても3日間で検出限界以下になり、安全性が高いことを確認した。本法のプロトタイプの紹介マニュアルを公開した。
c) ナシ白紋羽病温水治療技術の治療効果については、温水治療技術の効果を増強できる拮抗菌を微生物資材として調整する方法を開発した。また室内実験で、その微生物資材と温水処理とを組み合わせることで白紋羽病菌の発病を1/3~1/4に抑制することを確認した。
d) 臭化メチル代替技術については、トウガラシマイルドモットルウイルス弱毒株(L3-163株)と生分解性ポットによる根圏保護定植技術を組み合わせる場合、早期定植を行うことで慣行定植の無処理と同等の収量が確保できることを示した。
カテゴリ 病害虫 肥料 土づくり 青枯れ病 害虫 栽培技術 雑草 植物ウイルス 耐性菌 高接ぎ 治療技術 接ぎ木 抵抗性 とうがらし トマト なす 農薬 ばれいしょ 評価法 防除 ほおずき モニタリング 養液栽培 りんご

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