先端技術を活用した流通・加工利用技術及び評価技術の開発

課題名 先端技術を活用した流通・加工利用技術及び評価技術の開発
課題番号 2014025613
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 鍋谷浩志
協力分担関係 大和産業
名古屋大学
ポッカサッポロフード&ビバレッジ
北海道大学
産総研
糖鎖創薬技術研究センター
長野県工業技術総合センター
タイヨー製作所
理化学研究所
筑波大学
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要  農産物・食品の流通・加工工程の改善や開発に関しては、
a) ウンシュウミカンについて、バルクコンテナ内多段積載時の最下段果実に加わる静荷重、そして加振時に追加的に加わる動荷重を実測した結果、静荷重、動荷重ともに、積載段数を独立変数として説明できた。また、果実の状態(収穫時期、貯蔵の有無、向き)によって、破断荷重が大きく異なった。
b) アクアガスをバインダとした粉末食品の流動層造粒においては、バインダを緩やかに添加した場合、分散性に優れた顆粒調整が可能であることを確認した。また、アクアガス処理により、身を崩さずに骨まで喫食可能なサンマ干物調製が可能であることを確認した。
c) 短波帯加圧加熱処理により、サンマの背骨を可食できるまでに要する加熱処理時間を従来のレトルト加熱の1/3以下に短縮することが可能となった。また、短波帯加熱処理により、味噌中の酵素フォスファターゼ及びプロテアーゼを、従来加熱に比べて低い温度で失活できることが分かった。
d) 高圧処理を導入した果実類の加工食品の製造技術を開発し、リンゴ、アンズ、ウメ等のシロップ漬を試作し、その4℃及び25℃での保存実験を実施した。4℃では半年以上、ほぼ無菌状態(<100CFU/g)が維持され、25℃では少なくとも3か月間はほぼ無菌状態(<100CFU/g)であることを示した。これら試作品を活用した菓子の製造も実施した。
e) ジェットミルで乾式粉砕した微粉砕米粉の分散性を比較した結果、最も細かい米粉(3μm前後)の懸濁液は時間経過に伴う変化が最も小さく、高い分散性を示した。その要因を解析した結果、分散性保持には微粉砕に加え、損傷デンプンを増加させることが効果的であることが考えられた。
f) クランベリー果汁から安息香酸を分離・回収して有効活用するため、NF処理して得られた透過液を再度NF処理することによる安息香酸の精製・濃縮を検討した。果汁を用いた膜分離試験では、安息香酸の純度を3.34%から48.7%にまで高めることができた。
 先端技術を活用した新規評価手法や新規素材化技術の開発に関しては、
a) リンゴ果実のNMRによるメタボリックプロファイリングから青森産とニュージーランド産の産地の違いを強く反映する代謝物を探索した結果、シトラマル酸と,L-ラムニトールを同定した。
b) 近赤外分光法による血液成分推定方法を検討し、血糖値予測精度への寄与の高いスペクトル構造を考察した。また、糖尿病患者の試験から検量モデル成功率とBMIとの相関が示されことを踏まえて、脈の応答の補正により血管内のスペクトル情報のみを得る方法を検討した。
c) 試料に照射する励起光の波長を変化させながら、各励起波長における蛍光スペクトルを3次元的に重ね合わせて得られる蛍光指紋を画像計測と組み合わせて用いることにより対象中の成分分布を非染色で可視化する「蛍光指紋イメージング」を折りパイ生地に適用し、蛋白質・澱粉に脂質(油脂)も加えた3成分の同時可視化を可能とした。
d) フルオレセイン部位を導入したシチジル酸誘導体C-FLU-Cの自己集合によるナノ組織体の詳細な検討を行った。原子間力顕微鏡により観察したところ、当初予想していたナノベシクルは生成しておらず、直径5nm程度のシングルナノ粒子が集まり、全体で直径100nm程度のナノ粒子となっていることが示唆された。
e) 塩基配列解読の迅速化を目的として、染色体ナノ断片に含まれるシングルコピーレベルの微量DNA増幅に必要な要素技術((1)微量DNAのバイアスなしの安定的な増幅法、(2)外部DNA混入対策法、(3)染色体タンパク質の除去法)検討を行い、各々の要素技術確立への足がかりを得た。外部DNA混入対策の検討の結果得られた、高純度のDNA合成酵素は、実用化され販売に至った。
f) 豆乳を作成した際に問題となる青臭み成分(n-Hexanal)の生成の要因となる酵素リポキシゲナーゼ(LOX)の失活を目的として、短波帯加熱及び従来の温浴加熱を比較した。LOX活性値は短波帯加熱及び従来加熱とも豆の温度が70℃から80℃に掛けて上昇し、80℃以上の温度で急激に低下した。ただし、生成されたn-Hexanalは、短波帯加熱の処理時間に比例して低下することが分かった。
g) 山椒様の痺れ感を呈し後味を伸ばすことにより塩味を強める作用があることが知られているオランダセンニチの主成分スピラントールに、添加剤Aを適量加えることにより塩味増強効果が実用レベルにまで強まることを明らかにした。これらの結果に基づき、本年度、特許出願を行った。
h) 油脂の酸化にはラジカルが関与している。一般的な過酸化物価(POV)、酸価(AV)法よりも簡便で短時間な簡易酸化評価法の開発を目指し、ESRスピントラップ法による油中のラジカル計測を行った。その結果、ESRスピントラップ法により、POV、AV法と同様に油の加熱酸化を評価できる可能性が示された。
カテゴリ あんず うめ 温州みかん 加工 くこ 評価法 りんご

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