課題名 | (ウ)内水面の資源及び環境の保全と持続可能な利用技術の開発 |
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課題番号 | 2015027941 |
研究機関名 |
水産総合研究センター |
協力分担関係 |
栃木県水産試験場 愛知県水産試験場 内水面漁業研究所 鹿児島県水産技術開発センター 岐阜県河川環境研究所 滋 賀県水産試験場 群馬県水産試験場 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | ・イワナ等の渓流魚について、放流に適した場所の選定手法を開発するとともに再生産促進には大型魚の漁獲制限が有効 であることを示し、これまでに得られた研究成果と統合することにより、より効果的な天然魚と放流魚の包括的な資源管理・増殖手法を開発した。アユでは、放流に適した河川の環境条件の解明と漁期を通じた放流費用対効果の最大化を目指した新たな放流基準(時期、密度)を示し、既存の漁獲規制や産卵場造成技術と組み合わせた天然魚と放流魚の包括的資源管理・増殖手法を開発した。人工工作物がウナギの移動・分布に与える影響について検討した結果、高さ40cm 以上の堰堤が遡上障害となる可能性が示された。外来魚オオ クチバスでは、当歳魚が急増するリバウンド現象が成魚の減少による捕食圧の低下によって起こることを明らかにし、成魚の捕獲とともに産卵床や稚魚を対象とした繁殖抑制が重要であることを示した。カワウによる水産重要種の捕食被害を軽減するため、安全かつ効果的な新たな駆除装置(氷銃)を開発した。 ・国内のウナギ資源の現状を把握するため、過去に公表された複数の漁獲統計を整理、統合したデータベースを論文に取りまとめウエブ上で公表し、科学的な資源評価のための共通基盤を構築した。また、ウナギ資源動態モデルを高度化し、データベースを活用して絶滅確率を区間推定した結果、絶滅危惧種指定の再考を示唆する科学的根拠が得られた。シラスウナギの来遊量に影響する海洋環境要因を明らかにして、予測モデルを試作した。河川内での分布を規定する要因を解析した結果、下流に堰堤が少なく、河岸や河床の自然度が高い水域ほど生息数が多い傾向が示された。これまでの成果を総合し、ウナギの遡上が障害されない河川の連続性の確保や川岸・河床の自然度の保全・修復等の重要性を指摘した保全対策を提言した。 ・内水面漁業協同組合の経営状態を増殖経費の収支から診断する手法を開発するとともに、組織体制強化方策としてアユや渓流魚の包括的資源管理・増殖手法を提示した。内水面の漁業と遊漁の経済効果を定量化する手法を開発し試算した結果、近年では遊漁がもたらす経済効果が漁業・養殖業を上回ることが明らかとなった。内水面における遊漁を介した生態系サービス向上手法について、遊漁者と生産者双方のニーズの把握や放流実験を通じて検討し、増殖経費あたりの釣果(満足度)の向上が可能となる新たな放流手法を開発した。 ・渓流魚やアユの資源管理・増殖手法、外来魚やカワウの駆除技術、内水面漁協の経営に関する研究成果は、都道府県や内水面漁業協同組合における講習や現地での技術指導に活用されている。ウナギに関する成果は、水産庁が進める国際的な資源管理の枠組み構築のための重要な情報として、ウナギの資源保護・管理に関する国際協議等で活用された。本研究課題の成果は、内水面の資源及び環境の保全と持続可能な利用技術の開発、並びに内水面漁業の振興等に繋がると期待される。 |
カテゴリ | 経営管理 データベース 繁殖性改善 |