課題名 | 業務・加工野菜の安定供給に向けた夏秋期生産技術の開発 |
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課題番号 | 2015027777 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
青森野菜研 カネコ種苗(株) 渡辺採種場 鹿児島県 秋田県農業試験場 宮城農園研 岩手農研 岐阜県 ヤンマー(株) 全農営農・技術センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 寒冷地におけるタマネギ等野菜類の新たな作型の開発に関しては、 a) 育苗期の肥効調節型肥料(リニア型)の施用により、初期生育が促進され、増収となることを確認した。また、育苗期のリン酸液 肥施用も有効である可能性を示した。 b) タマネギ春まき作型における多収生産にはりん茎肥大開始期における葉面積の確保が重要で、そのためには遮根育苗時の肥効調節 型肥料の施用が有効であることを明らかにした。 c) マルチ栽培の収穫作業ではマルチの引き抜き抵抗が問題となるため、あらかじめ抵抗を緩和してマルチ穴を開ける機構を試作し、 半自動移植機に装備して移植時の穴開け同時作業を可能とした。 d) タマネギ秋まき作型においては、植付け深さや越冬時の被覆は越冬率に影響せず、被覆の保護効果に年次変動があることを明らか にした。また、被覆処理でりん茎の肥大が促進されること、高畝により越冬率が低下し、りん茎の肥大が抑制されることを明らかにした。 e) タマネギの端境期出荷を狙ったセット球による新作型開発に着手し、品種、育苗条件や定植時期等の栽培条件を検討した結果、品 種「シャルム」のセット球を8月上中旬に定植することでM規格品を収穫可能であり、セット球利用作型は可能と判断した。 f) セット球は定植前の高温処理によって休眠覚醒が進むことを明らかにするとともに、機械化体系へ組み込むためには、セルトレイ に植わった状態で貯蔵し、芽出し後に定植する方法が良いことを明らかにした。 g) 農食事業を中心としたタマネギの春まき新作型の技術開発成果に基づいて、全農と協力して栽培マニュアルを作成し、平成28年2月から配布を開始した。 h) アスパラガスの伏せ込み促成栽培では、水田土壌における2軸ロータリー畝立て機を利用することで慣行の畝立て機より高畝で砕土性に優れた畝が作成でき、根株重も大幅に増加することを再確認した。 i) 生分解性マルチを利用したアスパラガス栽培では、収穫時作業時間を2時間/10a以上削減できるが、平成27年のように1ヶ月間ほと んど雨が降らない場合は過乾燥となり、慣行マルチより根株重がやや低下することを明らかにした。 j) 宮城県平野部では、11月上旬にアスパラガス根株を掘り上げて圃場に1週間程度放置し低温遭遇量を増加させることによって、12月中旬からの収穫を可能とした。 露地野菜の干害・湿害回避技術に関しては、 a) 冬まきブロッコリー栽培において、地下水制御システム(FOEAS)を利用した排水・給水により土壌の水分環境が適正に保たれ、正常花蕾率が増加することを茨城県河内町の現地試験で明らかにし、ブロッコリー栽培におけるFOEASの利用技術を実証した。 b) FOEAS圃場において夏播きキャベツの直播栽培を行い、一時的に地下水位を畝の上面から-15cmにすることで出芽が促進され、出芽確認後に地下水位を-52cmにすることで初期生育も促進されることを確認した。さらに地下水位を-52cmで維持し続けると湿害が発生するという管理上の注意点も明らかにした。 c) 出芽及び初期生育を安定・促進させる目的で開発した「播種床形成機、施肥・播種装置」を用いたタマネギの直播栽培において、 初期生育やりん茎生育への促進効果を確認した。 d) 宮城県岩沼市の1ha圃場におけるキャベツの機械化一貫体系では、早晩性の異なる複数品種を組み合わせた連続出荷を目指すため、品種毎の生育特性の評価を行い、早晩性により葉球構成(各順位の葉の重量/結球重の比)が異なることを明らかにした。 e) キャベツの深植え定植による倒伏抑制の機作を探るために根の解析を行い、浅植えに比べ根数が多く、押し倒し抵抗値が高まるこ とによることを明らかにした。 f) 岩手県沿岸被災地における露地クッキングトマト栽培では、平成26年度に引き続き6月から10月までの連続出荷が可能であることを実証し、播種期を変えて長期出荷を行うためには早生品種「すずこま」が適することを明らかにした。 |
カテゴリ | アスパラガス 育苗 FOEAS 乾燥 機械化 機械化体系 キャベツ 業務加工野菜 栽培技術 栽培条件 直播栽培 湿害 出荷調整 水田 施肥 たまねぎ トマト 播種 品種 ブロッコリー 輪作 |