課題名 | 気候変動が果樹生産に及ぼす影響の機構解明及び温暖化対応技術の開発 |
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課題番号 | 2015027854 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
鳥取県園芸試験場 香川県農業試験場 長崎県農林技術開発センター 熊本県農業研究センター 沖縄県横行研究センター 岡山大学 鹿児島県農業開発総合センター 生物研 岩手大学 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 温暖化影響を評価するマップや晩霜害、発育不良等への対応技術開発に関しては、 a) ビワ新品種候補系統の耐寒性(3月時点での幼果の生存率)について、新品種候補「長崎21号」は既存品種「長崎早生」と比べ、長崎県では開花が遅いために、「長崎21号」の耐寒性が「長崎早生」より高くなることが示された。 b) ブドウ「巨峰」の着色不良発生マップを作成し、赤熟れ発生頻度を推定すると、愛知、岡山、香川、福岡、熊本の平野部では現在 でも20%以上の年で赤熟れが発生していること、2030年代になると、これらの地域は50%以上の年で赤熟れとなり、巨峰、ピオーネの生産には不向きになることを示唆した。 c) 栃木県のニホンナシ晩霜害について、被害量、気温、満開日の経年変化の解析、及び休眠・開花予測モデルによる時期別温暖化の 影響予測から、温暖化条件での晩霜害の特徴を明らかにした。 d) 気候変動と晩霜害発生の経年変化、晩霜害発生に関係する樹体要因と温暖化の影響、晩霜害に関係する気象条件、気候温暖化条件 下での晩霜害発生の特徴と対応技術からなる落葉果樹の晩霜害対策マニュアル「晩霜害の危険度評価に基づく効率的防霜対策」を作成した。 温暖化による生理的障害の発生機構の解明に関しては、窒素施用時期を秋冬期から春期に移行することにより、発芽不良発生リスクを低減できることを示し、成果をマニュアルとして取りまとめた。また、暖地での発芽不良の発生が少ない「凜夏」においても、暖冬年では、「幸水」に比べ割合が低いものの、発芽不良障害が発生することを示唆した。 園地の炭素蓄積能力の数値評価に関しては、全国の果樹園の表層20cmの土壌には、炭素が約14Mt程度蓄積されているが、化学肥料のみで清耕栽培を続けると10年間で約13%減少するとRothCで試算した。一方、清耕栽培を草生栽培や堆肥3t/10a施用の管理に変更すると 、土壌炭素が10年間でそれぞれ1.3及び2.9Mt増加すると試算した。 このほか、 a) 道管液ソルビトール含量の自発休眠覚醒期判定用バイオマーカーとしての利用可能性を検証した結果、「幸水」においては、道管 液ソルビトール含量の増加時期はつくば及び九州3地点(熊本県、福岡県、鹿児島県)でいずれも休眠覚醒期と連動しているが、「新 高」においては休眠覚醒との関係が不明確であることが示された。 b) 道管液糖含量は、耐凍性の指標になり得る可能性が示唆されたことから、特許出願した。また、休眠期間中の青色光などの光処理 により、開花が促進される傾向が認められたため、特許出願した。 c) ニホングリ「ぽろたん」における自発休眠覚醒に有効な温度帯を明らかし、発育速度(DVR)モデルに基づいて自発休眠覚醒モデルを作成した。さらに、モモの果皮色について、PpMYB10.1のアレル(「MYB10.1-1」と「MYB10.1-2」)の組み合わせで果皮の着色の有 無と濃淡をほぼ説明することができることを提示した。 |
カテゴリ | 新品種 耐寒性 発芽不良 びわ 品種 ぶどう もも |