タイトル | 低温貯蔵した生ジャガイモを揚げ調理すると多量のアクリルアミドを生じる |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2003~2004 |
研究担当者 |
遠藤千絵(農研機構北農研) 高田明子(農研機構北農研) 小野裕嗣 森元幸(農研機構北農研) 箭田浩士 忠田吉弘(消費技術センター併任) |
発行年度 | 2003 |
要約 | 生のジャガイモを低温で貯蔵すると糖含量が増加し、揚げ調理に用いると強い焦げ色がつ くばかりでなく多量のアクリルアミドを生成する。冷蔵庫に保存したジャガイモは、素揚 げ調理を避けた方がよい。 |
キーワード | アクリルアミド、ジャガイモ、家庭内調理、ポテトチップ |
背景・ねらい | 揚げたりオーブンで焼いたりして製造された食品中にアクリルアミドが高濃度で検出されることが、 2002 年 4 月にスウェーデンから発表された。以後、日本国内外で分析法の確立や市販加工食品の分析が すすめられ、さまざまな形で情報が公開されている。中でも、ポテトチップをはじめとするジャガイモ を高温加熱した食品はアクリルアミド生成量が大きくなり易いことが知られているが、おなじ種類の食 品でも値が 10 倍以上異なる場合がある。そこで、生のジャガイモの生理変化による成分の変動が関連し ていると考え、低温貯蔵したジャガイモを用いて加工前の成分と加工後のアクリルアミド濃度の関係を 調べた。 |
成果の内容・特徴 | 1.ジャガイモを約 20°Cの室温と 2°Cの低温で貯蔵し、糖、アミノ酸含量の変化と、ポテトチップに揚 げ加工後のアクリルアミド濃度を調べた。 2.2週間の低温貯蔵ではアクリルアミド濃度が 1 キログラムあたり 20 ミリグラムと、室温貯蔵の濃度 10 倍近くに上がった。 3.ポテトチップ中のアクリルアミド濃度は、生のジャガイモ中の還元糖の量と高い相関をもつことが 実験的に明らかとなった(図1)。 4.低温貯蔵により糖含量の増加したイモから加工したポテトチップは、アクリルアミド含量の増加に 加えて焦げ色による色調の著しい悪化も認められる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 生のジャガイモを低温貯蔵すると糖含量が増えることは以前から知られており、ポテトチップ製造メ ーカーでは揚げ色が悪くなる原因として避けられている。家庭内でも今後、同様な配慮が望まれる。デ ンプンが糖に変わるのはジャガイモが生きているためで、加工品の低温貯蔵や冷凍食品では糖は増えな い。また、糖が増加したイモも、煮たり蒸したりする調理法ではアクリルアミドは生成せず、甘みを生 かした調理では歓迎される。 |
カテゴリ | 加工 ばれいしょ |