タイトル | 農産物の還元糖/アスパラギン比率と加熱後のアクリルアミド生成量の制限要因 について |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
吉田充(食総研)/忠田吉弘(消技セ)/遠藤千絵 高田明子 小野裕嗣 森元幸(北農研) 箭田浩士 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 農産物中の還元糖とアスパラギンは強い加熱条件によってアクリルアミドを生成するが、 これら2つの成分のアクリルアミド生成への寄与が拮抗する比率が存在する。この比率 を境にアクリルアミド生成量の制限要因が切り替わるため、低減には農産物中の成分変 動範囲を考慮した対策が必要である。 |
キーワード | アクリルアミド、バレイショ、ポテトチップ |
背景・ねらい | 加熱加工食品中に見いだされるアクリルアミドは、主にアスパラギンが還元糖などのカルボニル化合物 と反応して生成している。食品の加熱中に起こる反応では、アスパラギンと還元糖のいずれか一方の成分 が不足することで生成するアクリルアミド量が制限を受けていると考えられる。そこで、成分変動がアク リルアミド生成量に大きな影響を与えることが知られているバレイショをモデルとして検討を進め、農産 物中の成分比率によっては、糖、アスパラギンのいずれもがアクリルアミド生成の制限要因となり得るこ とを明らかにした。 |
成果の内容・特徴 | 1.貯蔵条件や品種の異なるバレイショについて、フライ加工前のアミノ酸含量、還元糖含量、ならびに 加工後のアクリルアミド含量を分析した。アクリルアミド生成量と還元糖(フルクトース)量の両者 をアスパラギンに対する物質量比として規格化してプロットすると(図1)、両者の反応率が共に最 大となる領域が変曲点として見いだされた。 2.このときの最大反応率はアスパラギンが約2%、フルクトースが約1%であり、両者の比([Fru]/[Asn]) は約2であった。 |
成果の活用面・留意点 | 1.低温貯蔵による極端な糖含量の増加によりアミノ酸がアクリルアミド生成の制限要因になったイモは 著しい焦げ色を生じ、通常のチップ加工に用いられることはない。 2.加工用原料、家庭内調理で消費されるバレイショでは、通常の成分変動の範囲は変曲点の左の領域で あり、実質的に糖含量がアクリルアミド生成の制限要因である。 3.バレイショ以外の農産物でも同様の成分とアクリルアミド生成量の関係が存在するとみられるが、具 体的な反応率等は、加工条件や共存成分の影響によって変化する。 4.バレイショ以外の農産物では、成分変動の範囲が変曲点の左右どちらに分布しているかによって、加 熱加工後のアクリルアミド生成量の制限要因がアスパラギンか還元糖のいずれかになることが示唆 される。 |
カテゴリ | 加工 ばれいしょ 品種 |