施用有機物由来窒素の5年間にわたる水稲への吸収利用

タイトル 施用有機物由来窒素の5年間にわたる水稲への吸収利用
担当機関 兵庫県立中央農業技術センター
研究期間 1999~1999
研究担当者 牛尾昭浩
桑名健夫
松山 稔
発行年度 1999
要約 水稲(日本晴)に施用した重窒素標識有機物由来窒素の5年5作分の利用率の合計は、稲わら堆肥<オガクズ入り牛ふん堆肥<牛ふん堆肥<稲わらの順に高い。これらの利用率から、有機物を施用した場合のおおよその窒素施肥量が推測できる。
背景・ねらい  環境保全型農業が推進される中で家畜ふん堆肥等有機物による土づくりが盛んになっているが、有機物中に含まれる養分は施肥量にはあまり考慮されていないのが現状である。作物生産と環境保全の両面から適切な有機物施用と合理的な施肥を行うためには、作物が吸収する有機物由来養分量を把握することが必要である。ここでは、有機物中の窒素に重窒素で標識をつけ、その重窒素を追跡する手法を用いて、土壌に施用された有機物中の窒素が水稲にどれだけ吸収利用されるのかを5作5年間にわたり検討する。
成果の内容・特徴
  1. 重窒素標識有機物と肥料(硫安、過石、塩加)を混合した沖積水田土壌を 1/2000aワグネルポットに充填し、水稲「日本晴」を栽培し、収穫後の土壌は根部も含めてハウス内で自然乾燥後粉砕して次作に供する。次作目以降は無標識の有機物と肥料を施用して水稲を栽培し、初作に施用した有機物由来窒素の利用率を重窒素存在比から求める。
  2. 初作目の利用率は、稲わらの23.7%を最高として、牛ふん堆肥、オガクズ入り牛ふん堆肥は10%を越えるが、稲わら堆肥は5%と低い。2作目になると、稲わら堆肥以外の利用率は、初作目の1/4~1/3に急減する。利用率を5作分合計すると稲わら堆肥(19%)<オガクズ入り牛ふん堆肥(22%)<牛ふん堆肥(34%)<稲わら(40%)の順に高くなる(表1)。
  3. 吸収利用率の経年的な減少パターンを近似式でみると、初作目から利用率が低い稲わら堆肥では一次式が当てはまる。一方、比較的初作目の利用率が高い稲わら、牛ふん堆肥、オガクズ入り牛ふん堆肥では指数関数的に減少し、しかも炭素率が高いほどその近似式の相関係数は高くなる傾向が示唆される(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 有機物を連用した水稲単作水田(灰色低地土)における施肥量の参考となる。
  2. 窒素の流亡がないポット試験のデータであることを考慮して現場対応する必要がある。

図表1 210883-1.jpg
図表2 210883-2.jpg
カテゴリ 土づくり 肥料 乾燥 水田 水稲 施肥

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