ナタネ生産を基軸とした資源循環システムの二酸化炭素削減効果

タイトル ナタネ生産を基軸とした資源循環システムの二酸化炭素削減効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2006~2006
研究担当者 小野洋
平野信之
上田達己
天野哲郎
野中章久
林清忠
井上荘太朗
中島隆博
太田健
小綿寿志
佐藤正衛
発行年度 2006
要約  ナタネを食用油として使用した後にBDFに変換して燃料利用する、という資源循環システムの二酸化炭素排出削減効果を計測する。LC-CO2分析によれば、ナタネの生産性が海外産非食用ナタネと同等水準まで向上する場合、10haの生産につき35t程度の二酸化炭素排出削減が見込まれる。
キーワード ナタネ、LC-CO2、BDF、資源循環システム、産業連関分析
背景・ねらい  環境問題への関心が高まるなか、農作物なかでもカーボンニュートラルとされる資源作物が注目を集めている。
 資源作物の生産・利用においては環境影響評価が重要となるが、栽培実績が少なく、資材投入構造のデータベース整備は進んでいない。そこでナタネ油のカスケード利用によるBDF生産システムを対象として、ライフサイクルでの二酸化炭素排出量(LC-CO2)を産業連関分析により計測し、ナタネ生産の二酸化炭素排出削減の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 生産プロセスで直接・間接に発生する二酸化炭素量を計測するためにLC-CO2分析を実施する。生産資材等の製造過程に起因する排出量は産業連関分析法で計測し、生産過程の燃料消費による二酸化炭素量は燃料毎の排出原単位に使用量を乗じて求めている。
  2. 10haの生産調整水田で水張り管理している集落を想定する。この集落に対し図1で示される資源循環システムを導入し、10ha規模のナタネ栽培を行った場合、二酸化炭素排出量がシステム導入の前後でどのように変化するかをLC-CO2分析によって検討する。
    図1の特徴は、(a)搾油したナタネ油の域内での利用・回収、(b)廃食油のカスケード利用によるBDF生産と利用、(c)ナタネカスの肥料としての利用、の3点である。
  3. ナタネ生産技術に関して以下のシナリオを設定する(表1)。
    シナリオ1では物財費のみの生産費用価を185円/kgとした。これは水田における現時点での平均的な生産性(単収100kg、物財費1.85万円)を反映している。なお、物財投入の詳細としてはY県K町のデータを用いている。シナリオ4は生産水準が最も高いケースであり、物財費のみの生産費用価は18円/kg(単収300kg、物財費0.54万円/10a)となる。これはドイツでの非食用ナタネの生産費用価に相当する。
  4. 資源循環システムの導入により、ナタネ栽培・BDF変換過程で新たに消費される諸資材がもたらす二酸化炭素排出の増加分と、食用油・軽油・肥料等の消費の節約が要因となる二酸化炭素排出の減少分を図2に示す。
    シナリオ1の状態では、ナタネ油ないしBDFの生産量が、生産に要する資材投入に比して少ないため、二酸化炭素排出削減量が-31.1 tと負となる(二酸化炭素排出が増大する)が、ナタネ栽培技術が相当程度効率化されたシナリオ4では、排出量は大幅に削減される(34.5t)。
成果の活用面・留意点 本成果で用いた手法は、油糧作物導入の二酸化炭素排出削減効果の計測に用いることができる。
図表1 211609-1.gif
図表2 211609-2.gif
図表3 211609-3.gif
カテゴリ 肥料 栽培技術 水田 データベース なたね

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