大豆に対する地下水位制御システムの利用

タイトル 大豆に対する地下水位制御システムの利用
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2005~2008
研究担当者 島田信二
濱口秀生
高橋 幹
森田 敏
中元博明
星 信幸
神崎正明
冠 秀昭
南山 恵
金田 宏
藤森新作
発行年度 2008
要約 地下水位制御システムは大豆の出芽苗立ちの安定化や雑草生育抑制に有効であり、排水不良な粘質な土壌や土壌水分変動が著しい条件下で増収効果が高く、不耕起栽培にも適する。
キーワード 大豆、出芽苗立ち、収量、不耕起栽培、FOEAS
背景・ねらい 水田において排水性を高め、また均一な地下灌漑を可能とする地下水位制御システム(FOEAS)は、畑作物である大豆の高位安定生産に寄与することが期待される。そこで、気象および土壌条件が異なる国内7カ所において、本システムによる地下水位制御が有効な諸条件を明らかにするとともに、省力化技術の要である不耕起栽培への適否を解析し、本システムを活用した大豆の省力的安定生産技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 排水能力が高く数cm単位で地下水位を制御できる本システムの特長を生かし、土壌の乾燥時には一時的な地下水位の上昇、湿っている時には低地下水位に設定することにより、土壌の乾湿両条件において大豆の出芽苗立ちを向上できる(図1 地下水位制御区:WT区)。大豆の出芽苗立ち、初期生育の良好化に伴い、雑草の生育が抑制される(図2)。
  2. 大豆の生産性に対する地下水位制御(ライシメータ実験)効果は土壌種類に影響され、グライ土や灰色低地土では好適地下水位に制御する効果が大きく現れる(図3)。
  3. 試験を実施した4県(宮城、富山、茨城、福岡)において本システムによる増収効果が認められ、特に透水性が悪い粘質な圃場において効果が高い(図4)。ただし、対照区が適度な降雨や好適な地下水位に恵まれた場合や本システム区の生育が旺盛で蔓化、倒伏する場合には、対照区と同等か減収する場合もある(図4)。また、干ばつ回避による青立ち抑制効果もみられる(図略)ことから、気象変動下における大豆の安定生産への寄与が期待される。
  4. 粘質な土壌を有する現地大規模試験(試験番号19~22)において、明渠を施工していなくても本システム区は降雨後速やかに余剰水が排水されるため、梅雨期でも適期播種が容易となり、本システム+不耕起狭畦栽培区は本システム+慣行栽培区および対照(無暗渠、額縁明渠+慣行栽培)区対比で、それぞれ+20%および+61%増収(2007、2008年平均)した。このことから排水不良な粘質な土壌においても本システム導入によって不耕起播種技術による省力的な大豆生産が可能となる。
成果の活用面・留意点
  1. 土壌乾燥時に地下水位上昇によって出芽促進を図る際は種子を水没させない。
  2. 土壌水分制御により雑草種子の出芽も促進される場合があるため、播種前、播種直後の除草対策を適切に実施する。
  3. 地下水位制御により生育が旺盛となるため、倒伏、蔓化する場合があるので、品種や播種期、栽植密度、施肥量の決定の際に留意する
  4. 設定地下水位維持のためには、圃場周囲への漏水対策や透水性の高い土壌では多量の灌漑水が必要となる場合がある。 詳しくは「地下水位制御システム(FOEAS)による大豆の安定生産マニュアル」
    http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/003839.html)を参照のこと。

図表1 211708-1.gif
図表2 211708-2.gif
図表3 211708-3.gif
図表4 211708-4.gif
カテゴリ 病害虫 FOEAS 乾燥 狭畦栽培 雑草 省力化 除草 水田 施肥 大豆 排水性 播種 品種 不耕起栽培

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