乳牛の供用年数短縮の要因解析

タイトル 乳牛の供用年数短縮の要因解析
担当機関 経営科
研究期間 1999~1999
研究担当者 岡田直樹
金子 剛
出岡健太郎
杉本亘之(根釧農試)草刈直仁
扇 勉
大坂郁夫
塚本 達(新得畜試)
堂腰 顕
八田忠雄
発行年度 1999
要約 平均産次は畑地型地域で低く、乳量水準が高いほど低いが、全死廃・病傷事故率および飼養規模との相関はみられない。繋ぎ飼養では乳房炎、乳頭損傷、卵巣疾患、フリーストール飼養では第四胃変位、乳熱が多く、乳量水準は高いほど消化器病、ケトーシスが多い。病傷事故による不慮の淘汰は、農家の期待所得を大きく減収させる。
背景・ねらい 酪農経営の規模拡大および高泌乳化に伴い、乳牛の供用年数は短縮し、死廃・病傷事故が増大しているといわれる。そこで、供用年数変動の要因を整理し、経営規模、乳量水準、飼養形態および死廃・病傷事故率との関連を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 供用年数延長は収益性や作業効率向上を目的とした淘汰基準の強化および病傷による不慮の淘汰の増大により強く制約される。農家は家畜共済金により不慮の淘汰による不利益を直接被らないが、当該牛の牛乳生産の断念や代替牛の個体販売機会の喪失等により、経産牛50頭以上を飼養する7経営の試算では所得逸失額は年間150万円に達する(表1)。
  2. 平均産次は経産牛頭数や個体乳量が多いほど短く、草地型地域より畑地型地域が短い(表2)。また、平均産次は経産牛乳量と負の相関があるが、死廃および病傷事故危険率との相関はみられず、死廃・病傷事故の増加と直接的には結び付かない。
  3. 除籍理由ではフリーストール飼養(FS)で運動器および消化器疾患、繋ぎ飼養(ST)で乳房炎、乳器障害および繁殖障害が多い。また、FSは消化器疾患による死廃比率が高い。
  4. 全病傷事故危険率は高泌乳群が92%を越え、中・低泌乳群より約15ポイント高く、高泌乳群では胃腸疾患およびケトーシスが多い。STは乳房炎、乳頭損傷および卵巣疾患、FSは第四胃変位および乳熱が多く、全病傷事故危険率はFSの方が低い(表3)。
  5. 平均産次3.5産以上の農家では共済淘汰が72%と多く、自家淘汰が少ない。除籍牛の8~9割は病傷事故に関係するが、淘汰牛の選定には飼養頭数、育種改良、個体販売価格および共済費など多くの要因が関与する。
  6. ボディコンディションスコアー(BCS)の乳期別平均2.8以下および許容範囲外割合25%以上、泌乳初期の乳蛋白質率(PRO)2.8%以下、乳脂肪率(FAT)5.0%以上およびPRO/FAT比0.7以下の割合は繁殖性低下や妊娠分娩期疾患と関連する(表4)。
成果の活用面・留意点 本成績は乳検および共済データ(n=1572)に基づき、供用年数短縮の要因を解析したものであり、各農家間の技術格差や経営戦略の格差は大きい。
平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:乳牛の供用年数短縮の要因解析(指導参考)
図表1 212145-1.gif
図表2 212145-2.gif
図表3 212145-3.gif
図表4 212145-4.gif
カテゴリ 育種 規模拡大 経営管理 乳牛 繁殖性改善

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