タイトル | リンゴの単植園における授粉専用品種の利用方法 |
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担当機関 | 岐阜大 |
研究期間 | 2004~2008 |
研究担当者 |
安江恵美子(宮城農園研) 鵜飼真澄(宮城農園研) 菊池秀喜(宮城農園研) 工藤和典 高橋 司(岩手農研) 高嶋名世瑠(宮城農園研) 守谷友紀 小松宏光(長野果樹試) 小森貞男(岩手大農) 松本省吾(岐阜大教) 菅原 怜(宮城農園研) 浅川知則(岩手農研) 前島 勤(長野果樹試) 大沼欣生(宮城農園研) 池田裕章(宮城農園研) 猪俣雄司 藤井 満(岩手中央農協) 副島淳一 別所英男 本多親子 和田雅人 |
発行年度 | 2008 |
要約 | 「ふじ」および「つがる」の単植園で結実を確保するためには、「ドルゴ」、「メイポール」、「スノードリフト」等の中から開花期の異なる2品種を選択し、ポット大苗等の苗木移植や樹冠頂部への高接ぎにより、15m程度の間隔で経済品種の間に混植する。 |
キーワード | リンゴ、単植化、授粉専用品種、マメコバチ |
背景・ねらい | 残留農薬の規制等により、ドリフト(飛散)による意図しない農薬の果実への付着が問題視されている。リンゴにおけるこの問題の解決には、経済品種同士の混植を避け、単一経済品種のみを栽培する単植栽培が有効である。そこで、リンゴ単植園に適する授粉専用品種の選定、訪花昆虫を利用した効果的な結実管理法、授粉専用品種における花芽の安定着生技術等を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1.「ドルゴ」、「メイポール」、「ネヴィル・コープマン」の満開期は「ふじ」及び「つがる」より数日早く、「スノードリフト」は同時期である。これらの4品種は「ふじ」及び「つがる」との交雑和合性が高く、単植園における授粉専用品種として利用できる(表1)。 2.満開時の花色は「メイポール」と「ネヴィル・コープマン」は赤色、その他の品種は白色である。マメコバチは赤花へも十分訪花することが判明したため、赤花品種も授粉樹として利用可能である(データ省略)。 3.ポットで育苗した大苗の移植や、経済品種の樹冠頂部への高接ぎによって授粉専用品種を園地に導入すると、早期に結実率が向上し、変形果の発生抑制が期待できる(データ省略)。 4.結実率モデルおよび変形果の発生状況から、20m以上の授粉樹間隔では結実率が低下する傾向があるため、リンゴの並木植えわい化栽培園においては、15m程度の間隔で授粉樹を混植するのが良い(図1、2)。 5.腋花芽が着生しやすく、隔年結果しにくい「スノードリフト」に対しては、落花直後または休眠期に前年枝を数芽残して強く切り返し剪定を行うことによって、毎年安定して開花させることができる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.「ドルゴ」等4品種の苗木は、リンゴ苗木業者から購入できる。 2.開花期は気象条件や樹の栄養状態等の影響を受けやすいため、経済品種より開花が数日早い「ドルゴ」等の品種と開花が同時期の「スノードリフト」を1:1に組み合わせて経済品種と混植し、授粉を確実にする必要がある。また、隔年結果性の強い「メイポール」、「ネヴィル・コープマン」、「ドルゴ」に連年着花させるためには摘果が必要である。 3.交雑和合性があり、開花期が一致すれば、「ふじ」と「つがる」以外の経済品種でも選抜した授粉専用品種の利用が可能である。 4.ミツバチは赤花品種への訪花頻度が劣る可能性があるため、訪花昆虫としてミツバチを利用している園地では、赤花品種を避け、授粉樹としては白花の品種を混植する。 5.高接ぎによって授粉専用品種を園地に導入する場合は、ウイルス病の感染を防ぐため、穂木は無毒のものを用いる必要がある。 6.園地への導入方法等は、リンゴ単植化の手引き(果樹研究所編)を参考とする。(http://www.fruit.affrc.go.jp/) |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 育苗 収量向上 高接ぎ 農薬 品種 ミツバチ りんご わい化 |