タイトル | SSRおよびAFLPマーカーから構成されるナシの標準連鎖地図 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2006~2008 |
研究担当者 |
今井剛 山本俊哉 寺上伸吾 西谷千佳子 木村鉄也(種苗管理センター) 澤村豊 齋藤寿広 |
発行年度 | 2008 |
要約 | 本連鎖地図は、ナシおよびリンゴで開発されたSSRマーカーとAFLPマーカーなどによって構築されたセイヨウナシ品種「バートレット」の連鎖地図である。有用形質のDNAマーカー選抜を行うための基盤地図として利用可能である。 |
キーワード | ナシ、連鎖地図、DNAマーカー、ゲノム |
背景・ねらい | 樹は幼若期間が長く、播種から開花・結実までに長い期間を要する。DNAマーカーを用いた実生個体の早期選抜は、広い圃場面積と長期間にわたる労力を軽減できるため、非常に有用である。しかしながら、有用形質の選抜マーカーを獲得するためには、高精度DNAマーカーの開発や、基盤となる連鎖地図の構築が必須である。そこで、DNAマーカー選抜などゲノム情報を育種に利用し、ニホンナシ新品種の育成を効率化するために、セイヨウナシやニホンナシの雑種集団を用いて、ナシ類全般に利用可能な標準連鎖地図の構築を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1.セイヨウナシ「バートレット」の連鎖地図は、17連鎖群、地図距離1,086 cM、平均マーカー間距離1.9 cMである。108のナシ由来SSR*遺伝子座、123のリンゴ由来SSR遺伝子座、326のAFLP遺伝子座などから構成される(図1)。*SSR=simple sequence repeat (単純反復配列)の略。多型性が高いという特徴を持ち、多くの果樹類で標準マーカーとして利用される。 2.連鎖地図は、セイヨウナシ「バートレット」×ニホンナシ「豊水」のF1集団を用いて、シュードテストクロス法によって構築されている。連鎖群数はナシの染色体基本数n = 17と対応しており、17連鎖群のほぼ全域を網羅している。 3.ナシの連鎖地図は、共通のSSRマーカーをアンカーとして、リンゴの飽和標準連鎖地図と比較・統合することが可能である。今回構築した連鎖地図は、ナシにおける標準連鎖地図として位置づけることができる。 4.今回用いた解析集団からは、ニホンナシ「豊水」の連鎖地図も構築可能である。「豊水」の連鎖地図は、17連鎖群、全長1,217 cMの連鎖地図であり、82のナシ由来SSR遺伝子座、78のリンゴ由来SSR遺伝子座、222のAFLP遺伝子座などから構成される(データ省略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.連鎖地図の情報を用いることにより、有用形質の選抜マーカーの開発などゲノム情報を利用した育種が可能となる。 2.本連鎖地図上に位置付けられたSSRマーカーは、ニホンナシ品種・系統間の多型の検出に利用することにより、品種識別や親子鑑定に利用可能である。 3.ナシで開発されたSSRマーカーは、リンゴやビワなど他のナシ亜科植物のゲノム解析にも利用可能である。 4.各種SSRマーカーの分析には、DNAシーケンサなどの機器が必要である。 |
図表1 | |
カテゴリ | 育種 新品種 DNAマーカー 播種 びわ 品種 りんご |