タイトル |
ライコムギの栽培特性と導入の可能性 |
担当機関 |
(独)農業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
1998~2002 |
研究担当者 |
義平大樹
吉村康弘
荒木和哉
菅原章人
千田圭一
中司啓二
中道浩司
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発行年度 |
2002 |
要約 |
ライコムギは、乾物生産力や越冬後の再生力は高く、「Eldorado」は導入できる可能性が高い。ただし、コムギの「ホクシン」に比べ生理的耐雪性と雪腐病抵抗性が劣るため、防除や排水対策、適期播種などの基本技術を守る必要がある。
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キーワード |
ライコムギ、乾物生産力、生理的耐雪性、雪腐病抵抗性
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背景・ねらい |
ライコムギは、コムギにライムギの幅広い環境適応性を付与することを目標として、コムギとライムギとの属間雑種として作出され、欧米や中国では多数の実用品種が育成されている。北海道にはコムギの栽培できない地帯もあるため、ライコムギの栽培特性と問題点を明らかにして、北海道への導入可能性を評価する。
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成果の内容・特徴 |
- 土壌条件(重粘土)が同じである滝川と紋別の生育を比較すると、紋別では栄養生長期間が平均で16日長く、登熟期間は5日短くなるため、乾物生産力が低下する。また、紋別で多肥栽培すると、稈長が長くて軟弱となるため倒伏する。
- コムギのホクシンと形質を比較すると、ライコムギは子実重、わら重、一穂粒数、千粒重で優るが、穂数が少なく、穂重型品種が多い(表1)。
- 生理的耐雪性を評価するため、半数個体致死温度(LT50)の変動量とフルクタン含量の減少量をみると、コムギの「ホクシン」に比べライコムギはかなり劣るが、ライコムギ品種の中では、「Eldorado」と「Bob」がやや優れている(図1)。
- ライコムギの雪腐病抵抗性は、「ホクシン」と比較して大粒菌核病にはやや強く、黒色小粒菌核病と褐色雪腐病には弱く、褐色小粒菌核病には同じがやや弱い(表2)。
- 札幌、滝川、紋別の栽培では、ライコムギの全重や子実重は「ホクシン」を上回る。越冬性の指標である生理的耐雪性や雪腐病抵抗性の評価を加えると、品種として「Eldorado」が導入できる可能性が高い(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 耐凍性はコムギと同等かやや劣る程度であるが、耐雪性(生理的耐雪性と雪腐病抵抗性)が劣るため、適期播種できない場合、冬損が発生して大幅に減収する。よって、コムギに準じて適期播種と防除、排水対策などを行う。また、赤かび病の防除を徹底することや穂発芽に注意する。
- 種子消毒用殺菌剤による発芽不良に注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
種子消毒
抵抗性
播種
発芽不良
品種
防除
ライ麦
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