パン用春まき小麦「はるきらり」の施肥体系

タイトル パン用春まき小麦「はるきらり」の施肥体系
担当機関 基盤研究部
研究期間 2003~2007
研究担当者 佐藤三佳子
神野裕信
佐藤導謙
奥村理
阿部珠代
中道浩司
佐藤奈奈
五十嵐俊成
櫻井道彦
鈴木和織
発行年度 2007
要約
    パン用春まき小麦「はるきらり」は、基肥窒素量を12kgN/10aを上限に「春よ恋」より3kgN/10a程度増肥し、更に後期追肥を行うことで、収量とタンパク含有率を確保できる。初冬まき栽培では「ハルユタカ」の栽培体系を基本とし、加えて春まき栽培同様に後期追肥を行う。
キーワード
    コムギ、はるきらり、タンパク質含有率、春まき、初冬まき、後期追肥
背景・ねらい
    北海道における春まき小麦は、穂発芽や倒伏などの障害により、品質や収量の年次・地域変動が大きく、実需者からは安定した生産物供給が求められている。パン用春まき小麦「はるきらり(北見春67号)」は、障害耐性や製パン性に優れた新品種である。しかし、現行基幹品種である「春よ恋」とは栽培特性が異なるため、「はるきらり」に適した高品質安定栽培法の確立を目指し、肥培管理技術を検討する。また、同時に初冬まき栽培適性について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 「はるきらり」のタンパク質含有率は「春よ恋」より約1ポイント低く、安定的に基準値(11.5%)を達成するには、タンパク質含有率向上のための施肥対応が必要である(表1)。倒伏が著しくなる窒素吸収量は、「春よ恋」より3kgN/10a程度多い16kgN/10a(子実重600kg/10a以上)である。
  2. 基肥窒素量12kgN/10a以上では、子実重・タンパク質含有率の向上が頭打ちとなる。また、基肥窒素量が12kgN/10aを越えると、施用した窒素が圃場に残存する可能性が高い。以上のことから、基肥窒素量は12kgN/10a程度が上限である(表1)。
  3. 止葉期以降の後期追肥を行うことで、タンパク質含有率は向上し、子実重も増加する。上川地域では、開花期以降3回の尿素葉面散布(1回につき0.92kgN/10a)、道央地域では同4回の葉面散布または止葉期の硫安表面施用(4kgN/10a)でタンパク質含有率が1ポイント程度向上する(表2)。
  4. 基肥窒素量の増肥、葉面散布、硫安表面施用の方法にかかわらず、タンパク質含有率の向上に伴い、生地物性は向上し、パン体積も増加する。この時のパン体積の増加程度は「春よ恋」よりも大きい(図1)。
  5. 初冬まき栽培では、「ハルユタカ」の標準施肥量(融雪期10kgN/10a+止葉期6kgN/10a)を基本とし、春まき栽培と同様に、開花期以降3~4回の尿素葉面散布を行うことで、タンパク質含有率を確保する(表3)。
  6. 以上の結果から、「はるきらり」の施肥体系を表4に示す。
成果の活用面・留意点
  1. 本成績は全道の春まき小麦栽培地帯に適応し、「はるきらり」栽培に当たっての基本的な栽培技術として利用する。
  2. 播種期、播種量、病害虫防除等は、現行の春まき小麦栽培法に準ずる。
  3. 春まき栽培で収量水準が600~660kg/10a(「春よ恋」では600kg/10aに該当)となるような多収圃場では、耐倒伏性とタンパク質含有率を安定的に両立させることが難しく、本栽培法によってもパン用小麦の基準値11.5%に達しないことがある。
  4. 後期追肥を行うことにより、成熟期が1日程度遅れることがある。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「パン用春まき小麦「はるきらり(北見春67号)」の高品質安定栽培法」 (普及推進)
図表1 213921-1.jpg
カテゴリ 病害虫 小麦 栽培技術 栽培体系 新品種 施肥 播種 肥培管理 病害虫防除 品種

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