エライザ法によるインパチエンスネクロティックスポットウイルスの検出

タイトル エライザ法によるインパチエンスネクロティックスポットウイルスの検出
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2002~2004
研究担当者 津田新哉
河野敏郎
佐幸歌菜
櫻井民人
奥田 充
大村敏博
発行年度 2004
要約 インパチエンスネクロティックスポットウイルス(INSV)の抗体は、二重抗体サンドイッチエライザ法等血清学的手法によって感染植物粗汁液中の本ウイルスを高感度に検出できる。また、INSVを保毒した1頭の媒介昆虫アザミウマからもウイルスを検出できる。
キーワード インパチエンスネクロティックスポットウイルス、アザミウマ、シクラメン、雑草
背景・ねらい インパチェンスネクロティックスポットウイルス(INSV)は、我が国では1998年静岡県のバーベナで初めて発生が認められたウイルスで、海外から導入された花き類によって侵入したと考えられる。INSVは、Bunyaviridae科トスポウイルス属に分類される。本ウイルスは、同属のトマト黄化えそウイルス(TSWV)とは血清型、生化学的特徴、遺伝情報が明らかに異なる。そのため本ウイルスの寄生範囲、我が国における発生様相などの特性については全く不明であり、本病の防除技術も未だ確立されていない。そこで、本ウイルスの媒介昆虫アザミウマ並びに感染植物を検出するための血清診断法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. INSVのヌクレオキャプシドを抗原として作製した抗体は、二重抗体サンドイッチエライザ(DAS-ELISA)法によりINSV感染Nicotiana benthamianaの1万倍希釈粗汁液まで明瞭に反応する(図1)。
  2. 罹病植物と健全植物の粗汁液をDAS-ELISA法で比較し、両者の吸光値(A405)の差が0.1以上を陽性と判断する。
  3. 本DAS-ELISA法は、TSWVなど他種トスポウイルスに反応しない(図1)。
  4. DAS-ELISA法は、INSVを人為的に獲得させた全生育ステージのアザミウマ1頭からウイルスを検出できる(図2)。
  5. 2004年5~10月にかけて行った、INSVが慢性的に発病する山梨県シクラメン栽培ハウス内外の雑草を対象としたウイルス保毒調査で、国際的に未報告を含む8種のINSV感染雑草が検出された(表1)。しかし、それら感染雑草は全て無病徴であった。
成果の活用面・留意点
  1. 本DAS-ELISA法は、INSVの発生実態調査などへの利用に期待できる。
  2. INSV血清診断用DAS-ELISAキットは、日本植物防疫協会から販売されている。
図表1 217861-1.gif
図表2 217861-2.gif
図表3 217861-3.gif
図表4 217861-4.gif
図表5 217861-5.gif
図表6 217861-6.gif
カテゴリ 病害虫 インパチェンス 雑草 シクラメン バーベナ 防除

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