タイトル |
製麺適性の優れる小麦新品種「ふくさやか」 |
担当機関 |
(独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
1988~2001 |
研究担当者 |
石川直幸
長嶺 敬
谷中美貴子
高山敏之
田谷省三
甲斐由美
谷尾昌彦
佐藤淳一
村上泰臣
住田哲也
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発行年度 |
2002 |
要約 |
小麦「ふくさやか」は「シラサギコムギ」より成熟期が1~2日早く、稈長が約10cm短く、耐倒伏性が強い。粉色のくすみが少なく、ゆで麺の色・食感が優れる。赤さび病に弱い。広島県で奨励品種に採用された。
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キーワード |
小麦、新品種、ふくさやか、製めん適性
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背景・ねらい |
近畿中国地域の主要な小麦品種である「農林61号」と「シラサギコムギ」は成熟期が遅く、長稈で倒伏しやすく、小麦粉の色調がくすむ欠点があり、改善が求められていた。そこで早生・短稈で小麦粉の色調が優れる麺用品種の育成を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 「ふくさやか」(旧系統名:中国146号)は、1988年に中国農試(現:近中四農研)において「シラサギコムギ」×「シロガネコムギ」の交配を行い、派生系統育種法で育成され、2002年に命名登録された。2002年度の世代はF15である。
- 小麦粉のくすみ(a*)が少なく、ゆで麺の色が優れる。
- 成熟期がシラサギコムギより1~2日、農林61号より5日早い。
- 稈長がシラサギコムギ・農林61号より約10cm短く、倒れにくい。
- 赤さび病に弱く、うどんこ病にやや弱い。赤かび病抵抗性は農林61号と同程度の「中」である。穂発芽耐性は農林61号より弱く、シラサギコムギと同程度かやや弱い。
- 収量は、播種量・施肥量が少ない条件(広幅条播)ではシラサギコムギより多いものの農林61号より少ない。播種量・施肥量が多い条件(ドリル播)では農林61号より多収となる。
- 製粉性はシラサギコムギよりやや劣るが農林61号より優れる。
- アミロース含有率はシラサギコムギ・農林61号と同程度であるが、麺の食感(粘弾性)はやや優れる。
- 子実の蛋白質含有率はシラサギコムギよりやや低く、農林61号より高い。
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成果の活用面・留意点 |
- 温暖地以西の麦作地帯に適し、広島県で奨励品種に採用された。
- 収量向上のため、排水対策を徹底するとともに、基肥を従来品種よりやや増やす。
- 蛋白質含有率が適正値(麺用は9~10%)になるよう、蛋白質含有率が低くなりがちな圃場においては、晩期追肥を施す。
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図表1 |
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カテゴリ |
育種
うどんこ病
小麦
収量向上
新品種
施肥
抵抗性
播種
品種
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