中山間水田における害虫総合防除等による高品位野菜生産システム

タイトル 中山間水田における害虫総合防除等による高品位野菜生産システム
担当機関 施設栽培研究室
研究期間 2001~2005
研究担当者 安部順一朗
亀野 貞
熊倉裕史
桑田将能
池田順一
長坂幸吉
田中和夫
嶋津光鑑
萩森 学
尾島一史
浜本 浩
福永亜矢子
堀兼 明
発行年度 2005
要約 防虫ネット、天敵、太陽熱処理、簡易天窓設置と送風、有機質資材の合理的施用等により、中山間水田でのアブラナ科野菜等の露地および雨よけハウス栽培において、化学合成殺虫剤80%以上削減、化学肥料50%以上削減下でも、持続的安定生産が可能となる。
キーワード 中山間水田、アブラナ科野菜、害虫総合防除、防虫ネット、温熱環境改善、減化学肥料、農産物認証制度
背景・ねらい 中山間地域では、水田転換畑などで、多種類の野菜が露地あるいは雨よけハウスで生産され直売所や産直で販売されている例が多い。消費者のニーズに応えるため減農薬栽培が望ましいが、生産は著しく不安定になる。そこで、中山間地域の小規模野菜生産に導入可能な、害虫総合防除技術を核とし、化学合成殺虫剤の80%以上削減、化学肥料の50%以上削減を可能とする生産システムを確立する。
成果の内容・特徴
  1. 本システムは最も害虫の被害を受けやすいアブラナ科野菜を主な対象とするもので、ハウス栽培と露地栽培の2つの体系から成る(図1)。
  2. コマツナ無農薬・無化学肥料ハウス栽培において、0.6mm防虫ネット、防草用シート、太陽熱処理、天敵、トラップを組み合わせるハウス栽培体系を導入することにより被害が大幅に軽減して生産が安定化し、省力化効果をもたらすとともに、所得は10a、1作当たり約29万円に増加する(図1左、2)。
  3. キャベツ、コマツナ等アブラナ科野菜の秋作露地栽培において、有機質肥料のみを施用後、播種・定植直前まで太陽熱処理し、定植直後から0.6mm防虫ネットでトンネル被覆栽培する露地栽培体系の導入により、生物農薬(Bt剤)を2ないし3回散布するだけで害虫をほぼ完全に防除でき、キャベツでは可販球率が96%に向上する(図1右)。
  4. 防虫ネットを展張したハウスでは夏期温熱環境的に安全な時間帯は、日の出後、日没前の数時間程度に限られるが、簡易天窓の設置および作業者への送風により安全に作業できる時間は長くなる(図3)。
  5. 土壌診断に基づき該当する土壌管理マニュアル(表1)を選択することにより、肥料成分が過剰に蓄積した圃場の適正化、既に適正な圃場での適正状態の維持、野菜栽培に転換して間もない水田転換圃場等でしばしば見られる成分欠乏状態の土壌の適正化が可能となり、化学肥料を50%以上削減して、安定した生産を持続できる。
成果の活用面・留意点
  1. 京都府美山町(現南丹市美山町)における農家実証試験と所内圃場試験に基づく。
  2. 本体系によりコマツナ、ホウレンソウ等の軟弱野菜では無農薬栽培も可能である。
  3. 本研究の成果を裏付けにして美山町において町独自の農産物認証制度が創設され、町内の野菜出荷農家約200戸中70戸の農家が参加し、アブラナ科野菜については2004年度、全栽培件数の80%以上が化学合成殺虫剤と化学肥料をそれぞれ80%以上および50%以上削減して栽培されている。
  4. 中山間地域の小規模野菜生産における減・無農薬、減化学肥料生産に活用する。
  5. ハウス栽培体系、露地栽培体系、有機質資材等の適正施用に基づく土壌管理技術の詳細については技術マニュアル(http://wenarc.naro.affrc.go.jp/top.htmlに掲載)を参照のこと。
図表1 220005-1.gif
図表2 220005-2.gif
図表3 220005-3.gif
図表4 220005-4.gif
カテゴリ 病害虫 肥料 土づくり あぶらな 害虫 キャベツ こまつな 栽培技術 栽培体系 出荷調整 省力化 水田 総合防除技術 中山間地域 土壌管理技術 土壌診断 農薬 播種 防除 ほうれんそう 野菜栽培

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