微細孔機能性フィルムによる青果物の鮮度保持

タイトル 微細孔機能性フィルムによる青果物の鮮度保持
担当機関 農業研究センター
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 積層フィルム表面から微細孔を開け、包装機械適性のある強度を持ち、ポリエチレン(PE)フィルムよりも酸素透過度が高く、目標値に近い透過度を持つ機能性フィルムが安定的に量産できた。このフィルムの密閉個包装内はPEフィルムに比べ高二酸化炭素状態となり呼吸抑制効果(MA効果)により青果物の鮮度保持の延長が可能であった。
背景・ねらい 小売店頭での取り扱い易さや小分け販売のため、青果物のパック詰め包装が盛んであるが、その包装に品質保持という機能性を持たせたフィルムの開発を目指し、生産から消費まで一貫した青果物の高品質保持流通システムの確立に役立てる。今回、特に、呼吸量が多いブロッコリーの密閉包装、キノコ類の密封包装を可能にするため、PEフィル等よりも酸素透過度の高いフィルムの試作とその実用化試験を行った。
成果の内容・特徴
  1. 開発フィルムの特性:微細孔フィルムは、延伸ポリプロピレン(OPP)とPEとの積層フィルム面を特殊な穿孔技術(有限会社ポーラステクノの技術)を利用して作成した。このフィルムは数~十数μmの未貫通・半貫通孔や割れ目構造を持つ(図1)。酸素透過度が高く、酸素と二酸化炭素の透過度の違いが小さい(表1)。また、透過度の温度依存性が小さい(表2)。なお、結露により微細孔が塞がれると透過度が悪くなる(表1)。
  2. ガス組成の制御機能:青果物の呼吸の結果、密閉包装内がPEよりも高二酸化炭素状態になり、呼吸抑制効果(MA効果)が得られ、微細孔-2フィルムでは、ブロッコリーの品質保持が、15℃で14日、可能であった(表3、呼吸は約3割に抑制)。
  3. 品質保持機能評価:実用化試験中のエノキタケについて、出荷後(クール便)1日目の包装パッケージ内の酸素濃度は1%、二酸化炭素濃度は15~18%であった。食味等に関する官能評価結果では(表4)、食味を初め、エノキタケの姿や香り、その包装形態が良いとの評価が得られた。結露を気にする者が4割近くいた。
成果の活用面・留意点
  1. 透過度が高いフィルムが製造できるので、呼吸活性の高い青果物包装に適している。また、包材の一部にこのフィルムを使用することも可能である。
  2. 穿孔している面は多少透明度が低くなるきらいがある。
  3. 密閉フィルム面に水滴が付着すると透過度が低下するので、その点を改善するための新しい技術を開発し、特許を共同出願した。
  4. 高濃度の二酸化炭素による障害が起こる可能性のある青果物は、包装内の二酸化炭素濃度があまり高くならないように包装設計する必要がある。
  5. 酸素より二酸化炭素の透過度が遥かに高いポリオレフィン系フィルムの場合でみられる減圧状態は、このフィルムの場合は起こらない。
  6. 現状では、OPP単体フィルムよりも約2倍/袋ほど包装コストが高い。
図表1 223997-1.gif
図表2 223997-2.gif
図表3 223997-3.gif
図表4 223997-4.gif
図表5 223997-5.gif
カテゴリ えのきたけ 機能性 コスト 出荷調整 品質保持 ブロッコリー 良食味

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