疫病に圃場抵抗性を有する生食用ばれいしょ新品種「さやあかね」

タイトル 疫病に圃場抵抗性を有する生食用ばれいしょ新品種「さやあかね」
担当機関 北海道立北見農業試験場
研究期間 1995~2005
研究担当者 千田圭一
入谷正樹
伊藤 武
関口建二
大波正寿
池谷 聡
藤田涼平
発行年度 2005
要約 ばれいしょ「さやあかね」は、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、疫病圃場抵抗性であることから無農薬栽培が可能な中生の生食用品種である。「花標津」に比べ収量性は高く、上いも平均一個重も大きく、外観品質が優れる。「男爵薯」並の良食味でコロッケ加工適性もある。
キーワード ジャガイモ、疫病、ジャガイモシストセンチュウ、無農薬栽培、生食用、コロッケ
背景・ねらい 消費者の食の安全に対する関心の高まりを背景に、無農薬・減農薬栽培等に取り組む生産者が増えている。ばれいしょの慣行栽培では、農薬使用の大部分が疫病防除のためであり、疫病抵抗性品種を導入することで農薬使用の大幅な低減が可能となる。
現在、無農薬・減農薬栽培等で用いられている品種は、疫病抵抗性を持たない「男爵薯」等の一般品種であり、疫病によって大幅な減収を余儀なくされることが多い。一方、平成9年に育成された、疫病に強い圃場抵抗性を持つ「花標津」は、疫病での減収はほとんどないが、一般の生食用品種に比べて劣る特性が多く、栽培はごく一部の生産者と家庭菜園に限定されている。そのため、さらに実用的な疫病圃場抵抗性品種が望まれている。
成果の内容・特徴
  1. 「さやあかね」は疫病抵抗性の「I-853」を母、疫病圃場抵抗性でジャガイモシストセンチュウ抵抗性の「花標津」を父として人工交配し、選抜された品種である。
  2. 疫病罹病度の進行が感受性品種「男爵薯」「メークイン」より著しく遅く、圃場抵抗性の「花標津」並であるので、疫病圃場抵抗性は “強”である。また疫病無防除栽培での収量の低下が「男爵薯」よりかなり少ない(図1、表1)。
  3. ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ。
  4. 枯凋期は、「男爵薯」より3週間以上遅く、「花標津」よりやや早い中生である。生食用規格内いも重は「男爵薯」「花標津」より1割以上多収である。上いも平均一個重は「男爵薯」並で、「花標津」より大きい(表2)。
  5. 「男爵薯」「花標津」より目が浅く、外観品質が優れる(表3)。
  6. 「男爵薯」並に食味が優れ、コロッケ加工適性もある(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 北海道の生食用ばれいしょ栽培地帯に、無農薬栽培等向けとして普及する。
  2. 褐色心腐の発生することがあるので、多肥や疎植を避け、十分な培土を行う。
  3. 黄変期に地上部が再生することがあるので、その場合には地上部処理を行う。
  4. 塊茎の休眠期間が短いので、貯蔵に際し留意する。
図表1 226599-1.jpg
図表2 226599-2.jpg
図表3 226599-3.jpg
図表4 226599-4.jpg
カテゴリ 病害虫 加工適性 新品種 抵抗性 抵抗性品種 農薬 ばれいしょ 品種 防除 良食味

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