遺伝子組換えによりエチレン生成を抑制したトマトの成熟特性

タイトル 遺伝子組換えによりエチレン生成を抑制したトマトの成熟特性
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1994~1996
研究担当者 永田雅靖
山下市二
壇和弘
発行年度 1996
要約  トマトにエチレン生合成のキー酵素であるACC合成酵素のアンチセンス遺伝子あるいはセンス遺伝子をAgrobacteriumによる形質転換法を用いて導入し、エチレン生成が抑制され、成熟が抑制されるトマトを得た。それらのトマトの成熟特性と遺伝子発現を明らかにした。
キーワード トマト、ACC合成酵素、アンチセンス遺伝子、センス遺伝子、形質転換、エチレン生成、成熟特性、遺伝子発現野菜・茶業試験場 生理生態部 輸送貯蔵研究室
背景・ねらい トマト果実は、成熟を経て食用に適するように変化する。果実の成熟は、植物ホルモンであるエチレンによって促進されるが、さらにエチレンの作用によって、過熟に達してしまう。したがって、高品質トマト果実の生産および品質の維持のためには、エチレンの生成を制御する必要がある。そこで、エチレン生合成のキー酵素であるACC合成酵素のアンチセンス遺伝子あるいはセンス遺伝子をトマトに導入し、果実の成熟に対する影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ACC合成酵素のアンチセンス遺伝子を導入したトマトおよびセンス遺伝子(図1)を導入したトマトから、果実の着色速度が対照のトマトに比べて大きく抑制される個体が得られた(図2)。それらの果実のエチレン生成レベルは非常に低かった(図3)。
  2. 着色の抑制は、エチレン処理により解除されるので、エチレン感受性は正常であることが示された(図2)。
  3. 遺伝子組換えトマト果実では、対照のトマトに比べて、クロロフィルの分解とカロテノイド色素(リコペン)の合成が有意に抑制された(データ略)。
  4. ACC合成酵素遺伝子のセンス鎖およびアンチセンス鎖の発現パターン(図4)を明らかにした。
  5. 自殖後代の検定により、いずれの遺伝子組換えトマトからも、1遺伝子座に導入遺伝子を持つ個体が選抜された。さらに後代からホモ個体が得られ、導入した遺伝子は、安定して遺伝することがわかった(データ略)。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝子組換えによって作出したこれらのトマトの性質は、エチレンが関与する成熟現象の解明のための実験植物として活用できる。
  2. これらのトマトは、果実の成熟速度が遅く、過熟になりにくいので、品質保持性に優れている。そのような特性は、一斉収穫や一斉追熟など、収穫労力の軽減に応用できる可能性がある。完熟に至る時間が長いので、内容成分の集積による品質の改善が期待できる。
  3. 作出した遺伝子組換えトマトは、現段階では野外で栽培することはできない。また、食品としての安全性試験を経ていないので、食用に供することはできない。
図表1 227475-1.gif
図表2 227475-2.gif
図表3 227475-3.gif
図表4 227475-4.gif
カテゴリ トマト 品質保持 輸送

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