タイトル |
シードコンディショニングによるニンジン種子の発芽促進および出芽安定 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
山崎篤
中島規子
田中和夫
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ニンジン種子の発芽率向上には、厚みによる選別が有効である。バーミキュライト微粉末の毛管ポテンシャルを利用したマトリコンディショニングにより、発芽勢や発芽揃いが著しく向上する。また、処理種子を播種時に高分子保水剤と混和することにより、乾燥した培地でも安定した出芽が得られる。
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キーワード |
ニンジン、発芽率、マトリコンディショニング、発芽勢、発芽揃い野菜・茶業試験場 久留米支場 栽培生理研究室
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背景・ねらい |
近年、機械播種が野菜生産においても導入されつつあるが、それにはすべての種子が一斉に発芽することが要求される。しかし、発芽の悪いニンジン種子では、播種後の欠株や生育の不揃いが生じるため、厚播きと間引き作業が不可欠である。そこで、ニンジン種子の発芽促進および出芽安定のための手法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- ニンジン‘金港四寸’の発芽率は、種子の厚みによって明らかな違いが認められ、0.5~0.6mm厚の種子が最も高い(図1)。このことから、ニンジン種子については、厚みによる選別が発芽率を高めるのに有効である。
- ニンジン種子のマトリコンディショニング処理効果は高い。処理条件は種子0.5g、バーミキュライト微粉末(30メッシュ)1.6g、水の添加量0.6mlの組み合わせが最適で、播種翌日から発芽が始まり、3日後にはほぼ発芽を終える(図2)。なお、水の添加量が0.6mlより少なくなると処理効果が低下し、逆に0.8ml以上では種子内の生理的変化を発芽直前で止めることは難しい。
- マトリコンディショニング処理後、種子を20℃で風乾させても1日以内であれば、発芽勢と発芽率は低下せず、処理効果は持続する(図3)。
- 処理種子を少量の水および高分子保水剤(S社、PNVA NA-010)と混和し播種すると、乾燥した培地でも約40%の種子が出芽する(図4)。高分子保水剤を加えることは、出芽の安定に著しい効果がある。
- 厚み選別による発芽率の向上、 マトリコンディショニング処理による発芽揃いの向上および高分子保水剤との混和による乾燥条件下での出芽の安定、以上の3つの技術を組み合わせることによって、ニンジン種子の著しい発芽促進および出芽安定効果が得られる(図5)。
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成果の活用面・留意点 |
- この技術を利用することによって、ニンジン種子の発芽促進および出芽安定が得られる。そして、播種量を少なくすることによる間引き作業等の省力化が期待される。
- バーミキュライト微粉末によるマトリコンディショニング処理は、ネーキッドのホウレンソウ種子やトルバムビガーなどニンジン以外の野菜種子への利用が可能である。
- この手法を用いる際には、微細で粒子の均一なバーミキュライト(本試験では、30メッシュ)を用い、種子および水との十分な混和に留意する。
- 高分子保水剤は徐々に硬化するため、 発芽の遅れた種子の出芽抑制が認められる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
乾燥
省力化
茶
にんじん
播種
ほうれんそう
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