タイトル |
暗渠もみ殻(疎水材)の簡易開削充填機 |
担当機関 |
宮城古川農試 |
研究期間 |
2001~2007 |
研究担当者 |
岩佐郁夫
菅原強
石川毅
冠秀昭
針生義一
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発行年度 |
2007 |
要約 |
汎用化水田の機能を維持するために、もみ殻の腐植化により空洞化しつつある本暗渠疎水材部にもみ殻を充填できる。一般の鉄工場に製作依頼でき、営農組織等が保有する37kW(50PS)以上のトラクタで、牽引作業が可能な、低コストでシンプルな機械である。
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キーワード |
暗渠排水、もみ殻、疎水材、モミタス
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背景・ねらい |
水田の畑利用の本格化により、本暗渠の疎水材であるもみ殻の腐植化が急速に進み、一部の水田では、田面の陥没を引き起こすなど、汎用化水田としての機能(排水機能及び安全性)を維持することが困難になっている。一部の地域では、トレンチャ掘削によるもみ殻再投入(補修)が行われているが、多大な工事費を必要とする。暗渠排水施設に関しても、維持補修が必要であり、営農組織等が自ら施工できる低コストでシンプルな機械(以下「モミタス」と記述)の開発を行い、実用化する。
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成果の内容・特徴 |
- 「モミタス」は、切削部・ホッパー部及びステップ部から構成され、トラクタの3点リンクに直装することで、土壌硬度が変化しても、空洞化した本暗渠に、安定した掘削深で確実にもみ殻を充填することができる(写真1、図1)。
- 使用材料は、市販の一般鋼(SS)及びステンレス鋼(SUS)であり、16 万円程度で製作でき、これまで実施した作業においては強度上問題なかった(図1)。
- 作業人員は、トラクタ運転手1人、もみ殻投入2人、もみ殻突き固め1人、補助作業(荷下ろし、空袋処理等)1人、もみ殻運搬車運転手2~3人、計7~8人である。
- もみ殻の開削充填作業①~⑧のうち、「モミタス」を使用する作業は、下記④・⑤である。「①本暗渠直上を耕起→②本暗渠直上に目印設置→③もみ殻のトラック積込み→④本体の切削部先端の差込み→⑤ホッパー部へもみ殻を投入と同時に、突き棒での突き固め→⑥もみ殻投入部直上をトラクタ前輪で転圧→⑦ロータリ耕起→⑧前輪で再転圧」
- もみ殻の充填深さは、本暗渠の埋設深(通常60cm 以深)を考慮し、田面下20 ~ 45cmに設定する。本暗渠1 本(110 m)当たりの開削充填時間・もみ殻使用量は、各9分・3.3m3程度である。また、作業能率及び労働時間は、各1.44h/ha、10.8h/ha 程度である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 使用するトラクタは、4輪駆動かつ37kW(50PS)以上の出力で、3点リンクのうち、ロアーリンクの高さを、地面から15cmの高さまで下げられることが必要である。
- 本暗渠直上は周辺部よりも柔らかいので、3点リンクのうち、「ロアーリンクの締め付けを緩くしておく」ことにより、トラクタが本暗渠直上から多少横ずれしても、「モミタス」切削部は柔らかな本暗渠にならい、走行させることができる。
- 試掘により疎水材部の空洞の有無を確認し、施工の是非を判断する。試掘の結果、疎水材部が崩落土で埋まっている場合は、本暗渠の更新など、別の方法を検討する。
- 本機は、「農地・水・環境保全向上対策事業」の共同活動にも活用できる。
- 本機は、特許を取得せず、かつ、他の特許等を侵害してしないので、各自が機械を改造しても支障ない。農家等に対し、図面を含め積極的に情報提供を行い、普及に努める。
- 本機の製作及び疎水材充填作業は、ユーザー責任で行うことになる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
水田
低コスト
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