黒毛和牛肉とオージービーフでは香りを構成する揮発性成分に違いがある

タイトル 黒毛和牛肉とオージービーフでは香りを構成する揮発性成分に違いがある
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 渡邊 彰
樋口幹人
柴 伸弥
今成麻衣
発行年度 2009
要約 黒毛和牛の香り成分であるγC8及びγC9ラクトンの顕著な生成には酸素が必要である。また、小売店で購入した黒毛和牛肉の皮下脂肪はオージービーフよりも酸化による生成物が多く、甘い香り成分であるγC8及びγC9ラクトンが多い。
キーワード 黒毛和牛、輸入牛肉、ラクトン、香り
背景・ねらい 牛肉の食味特性は様々な要因により決定される。これまで硬さなどの物理性や旨みに寄与する化学成分などが検討されてきた。一方、香りは食味特性の重要な要因であるが、調理方法や保管条件の影響を受けやすく、また簡便な分析方法がないため香りの違いについての情報は少ない。そこで、2008年度に報告した迅速・簡便なGCMS-SPME法を用いて牛肉の食味特性として対局的な位置にあるブランド黒毛和牛肉とオーストラリアからの輸入牛肉(オージービーフ)の香りの違いを甘い香り(peach like flavor)をもつラクトン類を中心に明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 脱酸素剤および抗生物質とともに黒毛和牛肉を貯蔵すると短い分子鎖のラクトン(γC8,γC9)の生成がより顕著に抑制される(図1)。
  2. 小売店の黒毛和牛はオージービーフよりもγC8およびγC9が多い(表1)。
  3. δC10、δC12、δC14はオージービーフのほうが多い(表1)。
  4. テルペノイド類はオージービーフのほうが多い傾向にある(表1)。これはクロロフィルを含む青草摂取量の違いの現れである。
  5. 炭化水素類、アルデヒド類、アルコール類およびエステル類は黒毛和牛のほうが多い傾向にある(表1)。これらは酸化による生成物である。
成果の活用面・留意点
  1. 分析方法については、平成20年度成果情報「牛肉中の甘い香りを含む揮発性物質を迅速・簡便に測定する方法」を参照。
  2. オージービーフでは分析に必要な筋肉内脂肪を回収することが困難なため小売店におけるサンプル比較はスライスされた皮下脂肪を用いている。
  3. 表1および図1の強度は分析で使用した内部標準物質に対する割合で絶対的な数値ではない。
  4. 強度は100℃で加熱した時のヘッドスペース中の量でありサンプル中の量ではない。
  5. 牛肉の香りに関する研究をするうえで、サンプルの酸化の程度を常に考慮する必要がある。
図表1 233916-1.png
図表2 233916-2.png
カテゴリ 香り成分 肉牛 良食味

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