タイトル |
カンショ「九州159号」を用いた効率的バイオエタノール生産技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
徳安 健
Sathaporn Srichuwong
椎名武夫
折笠貴寛
吉永 優
片山健二
小林 透
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発行年度 |
2009 |
要約 |
低温糊化性澱粉を有するカンショ「九州159号」を原料として、原料磨砕物の粘性低下後に糖化・発酵を行う工程(CARV法)によりバイオエタノールを製造すると、液化を60℃程度で行うことが可能となり、液化工程に要するエネルギーを大幅に低減できる。
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キーワード |
カンショ、CARV法、エタノール、低温糊化性澱粉
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背景・ねらい |
バレイショで開発した新しいバイオエタノール製造工程(CARV(Conversion After Reduction of Viscosity)法、平成20年度成果情報)の応用範囲を拡大するため、カンショへの適応を検討する。カンショへのCARV法適応について、品種による製造時におけるエタノール変換効率や熱エネルギー消費量の低減効果も明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- カンショのCARV法によるエタノール変換工程について効率を評価する(図1)。本法では、固液分離工程のみならず、ハンドリング向上のための加水工程も省くことが可能となる。
- 「九州159号」と「ダイチノユメ」の成分特性は大きく変わらない(表1)。「九州159号」では、60℃以上での液化で既に90℃以上での液化と同等のエタノール収率が得られるのに対し、「ダイチノユメ」では、80℃以下はエタノール収率が低く、特に70℃以下では50℃と同程度の収率しか得られない(図2)。
- 「九州159号」を用い、60℃で液化を行ったCARV法によるエタノール変換を行った際の原料kgあたりのエタノール収量は180mlであり、理論収率の90%となる。
- 「九州159号」と「ダイチノユメ」からエタノール1Lを得る際の液化工程(熱処理プロセス)に用いられるエネルギー消費及びCO2消費量の試算データからは、「九州159号」を用いた低温液化により約50%の節減効果が見られる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「九州159号」のような低温糊化性澱粉を有するバイオエタノール原料の開発により、加熱に伴う変換コストのみならず、エネルギー消費及びCO2消費量が低減できる。
- 「九州159号」のような低温糊化性澱粉を有するカンショを用いてバイオエタノールを製造するには、澱粉量増加など原料特性のさらなる改良が求められる。
- 60℃での液化による微生物汚染は、数リットル規模のバッチ試験では問題とならないが、スケールアップを行う際には注意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
かんしょ
コスト
ばれいしょ
品種
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