タイトル |
MA包装用段ボール箱を利用した1-MCP処理方法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
2003~2009 |
研究担当者 |
樫村芳記
羽山裕子
阪本大輔
中村ゆり
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発行年度 |
2010 |
要約 |
リンゴおよびニホンナシをMA包装用段ボール箱に入れ、H貼り、またはI貼りで封かんして1-MCPを処理することにより、果肉軟化や酸含量の低下等が抑制され、高い品質保持効果が得られる。
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キーワード |
鮮度保持剤、ニホンナシ、日持ち性、リンゴ
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背景・ねらい |
1-メチルシクロプロペン(1-MCP)は強力なエチレン作用阻害剤であり、収穫後に処理すると、リンゴやニホンナシの日持ち性が大幅に向上する。本剤は常温・常圧下において気体であるため、通常、処理は気密性の高い施設内において行う必要があるが、個人出荷等小規模な経営体ではこのような施設を整備できない場合も想定される。そこで、生産者から消費者への直接販売における利用を想定し、リンゴ等の一般的な出荷容器である段ボール箱内で簡便に処理する方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- ライナーに低密度ポリエチレン(LDPE)をラミネートし、ガス透過性を制御したMA(modified atmosphere)包装用として市販されている段ボール箱(内寸460mm×300mm×150mm)に封入した1-MCPの濃度は、図1に示すH貼り、I貼りのいずれの封かん方法でも時間の経過とともに低下するが、1-MCP濃度の半減期は、それぞれ9.06時間、5.23時間であり、一定期間の保持効果が認められる(表1)。
- 5kg相当のリンゴ「王林」の果実を上記MA包装用段ボール箱に詰め、1-MCPとともに粘着テープを用いてH貼りまたはI貼りにより封かんし(24時間後に開封)、20℃で貯蔵すると、収穫6週間後においても無処理に比べて、果肉軟化、滴定酸度の低下、果皮色の変化が顕著に抑制され、日持ち性が向上する(表2)。また、この効果は封かん方法、1-MCP 濃度にかかわらず、通常の気密性容器を用いた処理と同程度の品質保持効果が認められる。
- 同様に、ニホンナシ「幸水」を処理すると、収穫2週間後においても無処理に比べて、果肉軟化、地色の上がりが顕著に抑制され、日持ち性が向上する(表3)。
- 以上のことから、リンゴおよびニホンナシでは、ライナーにLDPEをラミネートすることにより気密性を高めた本MA包装用段ボール箱を用いた1-MCP処理は、高い品質保持効果が得られる。
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成果の活用面・留意点 |
- MA包装用段ボール箱における1-MCPの透過性は、ラミネートする資材の種類や箱の形状により異なるため、透過性を事前に検査する必要がある。
- 農薬登録において、1-MCPの処理は、気密性の高い容器内で処理することとされているため、本技術の使用には農薬登録の適用拡大が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
経営管理
出荷調整
農薬
品質保持
りんご
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