変異型エチレン受容体遺伝子の導入によるトレニアのエチレン感受性低下

タイトル 変異型エチレン受容体遺伝子の導入によるトレニアのエチレン感受性低下
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2005~2010
研究担当者 棚瀬幸司
間竜太郎
山口博康
谷川奈津
永田雅靖
小野崎隆
市村一雄
発行年度 2010
要約 カーネーションの変異型エチレン受容体遺伝子Dc-ETR1nrをトレニアに遺伝子導入すると、エチレン感受性が低下する。
キーワード 遺伝子組換え、エチレン受容体、カーネーション、トレニア、エチレン感受性
背景・ねらい トレニアはエチレン感受性花きであり、エチレンにより老化が促進される。エチレン受容体は、その構造を改変した遺伝子を導入することによりエチレン感受性が大幅に低下することがシロイヌナズナなどで報告されている。トマトの成熟変異体Never ripe(Nr)はエチレン受容体遺伝子に変異が起こり、エチレン非感受性形質を示す。そこで、カーネーションのエチレン受容体遺伝子Dc-ETR1にトマトのnr型の変異を導入したコンストラクトを作製し、トレニアに遺伝子導入することにより花のエチレン感受性を低下させる。
成果の内容・特徴
  1. カーネーションのエチレン受容体遺伝子Dc-ETR1において36番目のプロリンが ロイシンになるようにミスセンス変異を導入し、変異型エチレン受容体遺伝子Dc-ETR1nrを作製する。これをバイナリーベクターpBI101に組み込んだコンストラクトを作製し、トレニアに遺伝子導入する。
  2. トレニアの花冠はエチレンにより離層が形成され脱離が起こるため、花のエチレン感受性は花冠の脱離を指標とする。Dc-ETR1nr組換え体は野生型に比べエチレン感受性が低下し、外生的エチレンを処理しても花冠の脱離が見られない(図1)。野生型とエチレン生合成を抑制した組換え体(ACO組換え体(379-433ACO))は外生的エチレン処理により花冠の脱離が見られる。
  3. Dc-ETR1nr組換え体は傷害処理(雌ずいをピンセットで3回挟む)をしても野生型に比べエチレン生成量は少ない(表1)。野生型は傷害処理後のエチレン生成量が多い。ACO組換え体は傷害処理をしても野生型に比べエチレン生成量は少ない。
  4. Dc-ETR1nr組換え体は傷害処理およびエチレン処理(10μL・L-1、24h)後の花持ちが野生型よりも長い(表2)。野生型はいずれの処理区でも花持ちが短い。ACO組換え体は傷害処理後の花持ちは野生型よりも長いが、エチレン処理後は野生型と同じである。
成果の活用面・留意点
  1. Dc-ETR1nrは他の植物でもエチレン感受性低下を誘導できると考えられる。
  2. Dc-ETR1nr組換え体では、不定根の形成不良が見られるため、挿し芽で増殖するときは注意が必要である。
図表1 234469-1.png
図表2 234469-2.png
図表3 234469-3.png
カテゴリ カーネーション トマト トレニア

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