糸状菌のかび毒デオキシニバレノール(DON)生産誘導機構の解明

タイトル 糸状菌のかび毒デオキシニバレノール(DON)生産誘導機構の解明
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2010~2010
研究担当者 岩橋由美子
鈴木忠宏
発行年度 2010
要約 デオキシニバレノール(DON)産性フザリウム属糸状菌では、アグマチン、アスコルビン酸、大麦表皮等の添加剤がDONの産生を強く誘導する。アグマチンの効果は、DON生合成に必要な物質の供給増加であると考えられる。
キーワード フザリウム属,デオキシニバレノール(DON)、アグマチン
背景・ねらい 食品等への汚染が懸念されるフザリウム属かびの生産するかび毒の量や生産の有無は、かびが生育する環境(化学薬品、降雨、日照、宿主植物の一部など)によって大きく異なる。本研究では、フザリウム属かび遺伝子の変動を検出するDNAマイクロアレイを作成し、環境によって変動するかび毒生産に関与する遺伝子を特定し、その制御メカニズムの解明を行う。本研究により万一生育してもかび毒を生産しない条件を設定することで、かび毒汚染リスクの低減を図ることが可能となる。
成果の内容・特徴
  1. Fusarium asiaticum(mo311)をPotato dextrose培地で生育させると、添加物なしでも若干のデオキシニバレノール(DON)を生産するが、大麦表皮やアスコルビン酸添加によりその生産量は増加する。一方Modified CZAPEK液体培地ではDONの生産は完全に抑制され、本培地にアグマチン(5mM)を添加すると、DONの生産量が増加する(図1)。
  2. Modified CZAPEK液体培地にアグマチン(5mM)を添加して培養したFusarium asiaticumは無添加区と変わらない増殖率を示す一方、DON生産量はアグマチン添加後3日目以降増加し、4日で最大に達する(図2)。
  3. MIPS Fusarium graminearum genome database(FGDB)を用いて、Fusarium graminearum全遺伝子を搭載したDNAマイクロアレイを製作した。アレイに搭載したプローブは60-merのオリゴヌクレオチドからなり、11,619個の遺伝子をコードする43,067個である。
  4. このマイクロアレイを用いてアグマチン添加により影響を受けるFusarium asiaticum(mo311)の遺伝子発現解析を行ったところ、搭載11,619個の遺伝子のうち、3倍以上に誘導されている遺伝子は556個、0.3倍以下に抑制されている遺伝子は453個である。
  5. アグマチン添加によって誘導される遺伝子の多くは、脂肪酸やイソプレノイドの代謝に関わる遺伝子であり、その他各種脱水素酵素、トランスポーター等に関する遺伝子が誘導される(表1)。DON生産過程の重要遺伝子(Tri5)の誘導は顕著ではなく(1.8倍)、アグマチン効果は、DON生合成経路関連遺伝子を直接誘導するというよりは、代謝調節によるDON生合成に必要な基質の供給増加であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. Fusarium graminearum全遺伝子を搭載したDNAマイクロアレイはあらゆる代謝機能の研究に用いる事が出来る。
  2. DONの生産抑制の為に、今までと異なる視点での麦類等の育種戦略に活用出来る。
図表1 234625-1.png
図表2 234625-2.png
図表3 234625-3.png
カテゴリ 育種 大麦

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