36. γ−アミノ酪酸生成能の違いによるチーズスターター菌の亜種判定法

タイトル 36. γ−アミノ酪酸生成能の違いによるチーズスターター菌の亜種判定法
担当機関 畜産試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者 野村将
木元広実
染谷幸雄
鈴木一郎
発行年度 1998
要約 チーズスターター用乳酸菌Lactococcus lactisには、subsp.lactisおよびsubsp. cremorisの2亜種が存在する。今回、両菌種間でグルタミン酸脱炭酸酵素活性が異なることを明らかにし、これを測定することによる両菌種の簡便な判定法を開発する。
背景・ねらい

チーズスターター用乳酸菌Lactococcus lactisは、菌学的性質の違いによりL.
lactis ssp. lactis (lactis)およびL. lactis
ssp. cremoris (cremoris)の2亜種に分類されている。cremorisは、4%NaCl存在下や、pH9.2の培地、また40℃では生育できないという性質のほか、アルギニンデイミナーゼ(ADI)活性を示さないことが特徴である。ADI活性の有無は、市販の同定キットでもlactisとcremorisを判定する項目となっている。本研究では、L.
lactisにおけるグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)活性の有無がADI活性と一致することを明らかにし、GAD活性あるいはGADの反応生成物であるγ-アミノ酪酸(GABA)を測定することによるL.
lactisの新規な亜種判定法を開発した。(図1)
成果の内容・特徴
  1. 標準株を含むL. lactis16株(lactis10株、およびcremoris6株)をスキムミルク培養し、GABA生成能を検討した(表1)。lactisではすべての株でGABAを生成したが、cremorisでは1株も生成は認められなかった。
  2. 適当な液体培地(M17、TYG等)で調製した菌体のGAD活性を測定したところ、cremoris株ではまったく認められなかった(表1)。GABA生成とGAD活性の有無は、ADI活性と完全に一致していた。
  3. チーズスターターから分離した乳酸菌37株についてGABA生成能を調べ、従来法による亜種判定と比較した(表2)。GABA生成の有無は従来の判定法の結果と完全に一致した。
  4. GABA生成はスキムミルク培養の上清を試料にして検査できる。ほとんどのL.
    lactisはスキムミルク培地に生育するので、菌がよく生育する適当な培地を検索する必要がない。
  5. 以上の結果から、GABA生成能あるいはGAD活性を定性することにより、L.
    lactisの亜種を簡便に判定することが可能であると結論した。
成果の活用面・留意点
遺伝子上の突然変異によりGADタンパクが不活性となることも考えられるので、亜種の判定に際してはいくつかの項目を検討し、総合的に判定する必要がある。
図表1 235034-1.gif
図表2 235034-2.gif
図表3 235034-3.gif
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