30.新規デキストランスクラーゼが生産するグルカンの構造

タイトル 30.新規デキストランスクラーゼが生産するグルカンの構造
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1997~2000
研究担当者 舟根和美
北村義明
小林幹彦
発行年度 2000
要約 Leuconostoc mesenteroides 中に新規に見いだしたデキストランスクラーゼ様遺伝子を修復して得られた遺伝子産物は、1,6 結合約 50%、1,3 結合約 40%のグルカンを合成する酵素であった。

背景・ねらい Leuconostoc mesenteroides NRRL B-512F株のデキストランスクラーゼ(DS)は、スクロースを分解して、水溶性のグルカンであるデキストランを合成する酵素である。B-512F株は一種類のDS(DSRS)しか持たないと考えられていたが、実際はどうであるかを、遺伝子レベルで明らかにすることを試みた。また、単離された遺伝子産物がどのような構造のデキストランを生産する酵素であるか解明を試みた。
成果の内容・特徴 1.新規DS様遺伝子dsrTは、活性中心部位をコードする領域の下流に5塩基の欠損があり、直後に終止コドンが現れた(図1a)。B-512F株をスクロースを炭素源として培養するとdsrTが発現することをRT-PCRで確認し、さらに、この欠損を越えてmRNAが生産されることがわかった(図1b)。
2.既知DS遺伝子dsrS(図1a)より発現したタンパク、DSRSの分子量は約200kDaでグルカンを合成し、DSRTは約150kDaと分子量が小さく、グルカンは合成しなかった(図2)。欠損修復したdsrT5遺伝子(図1a)より発現したDSRT5タンパクは分子量が約220kDaに増加し、グルカン合成活性が回復した(図2)。
3.DSRSは主に水溶性、DSRT5は主に非水溶性のグルカンを合成した。DSRSグルカンはα-1,6結合を主成分とするB-512F株本来のデキストランに近い構造であったが、かなりの量のα-1,4結合を含み、DSRT5グルカンは、約40%ものα-1,3直鎖結合を含むことがわかった(表1)。
成果の活用面・留意点 Leuconostoc属菌では、高い割合でα-1,3結合を含むグルカンを合成する酵素は珍しく、今回のdsrT遺伝子の発見は、進化の観点から興味深い。また、デキストランスクラーゼがα-1,6およびα-1,3以外のα-1,4結合も形成することが示唆され、反応生成物の構造と酵素の構造との関係を考える1つの手がかりが得られた。
図表1 235073-1.JPG
カテゴリ シカ

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