完熟期収穫の飼料用米サイレージ調製法

タイトル 完熟期収穫の飼料用米サイレージ調製法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2010~2012
研究担当者 井上秀彦
松尾守展
小島陽一郎
浦川修司
伊吹俊彦
遠野雅徳
上垣隆一
発行年度 2012
要約 完熟期収穫の飼料用米サイレージ調製において、破砕処理、乳酸菌添加、水分含量27.5%以上の3つを組み合わせることで、長期間、安定した良質なサイレージに調製できる。
キーワード 国産自給飼料、サイレージ調製、飼料用米、破砕処理、乳酸菌
背景・ねらい 輸入トウモロコシと代替可能な飼料用米の作付面積は大きく増加している。飼料用米の貯蔵方法について、食用米で行われている乾燥調製があるものの、より低コストに貯蔵できるサイレージ調製が期待されている。しかし、完熟期に収穫調製された飼料用米サイレージについての知見はなく、適切な調製方法、長期貯蔵に伴う発酵品質の変化などは明らかになっていない。本課題では、完熟期に収穫した飼料用米をサイレージ調製した際に、調製方法の違いが発酵品質におよぼす影響、また、長期貯蔵時の発酵品質を検討し、最適な調製方法を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 飼料用米サイレージ調製時に破砕処理(2mmメッシュ通過割合25%以上)を行うことで消化性が向上し(2009成果情報*)、乳酸菌(Lactobacillus plantarum、105CFU/g新鮮物中)を添加することで、相乗効果により乳酸含量が大きく増加、酪酸発酵を抑制し、pHは4以下となり良質なサイレージになる(図1)。
  2. 破砕処理と乳酸菌添加処理により、120日間の長期貯蔵においても、酪酸の増加を0.1倍以下、VBN(揮発性塩基態窒素)を0.7倍程度まで抑制出来できる。一方、グルコース添加では酪酸およびVBNの増加を抑えることは出来できない(図2)。
  3. 完熟期に収穫した籾米は水分含量25%以下となる。水分調整量27.5%未満では乳酸含量が増加せず、pHが十分低下しないため、加水処理は必須である。また、加水のみおよびグルコース添加では、水分含量が高くなるほどpHが低下し水分含量50%でpH4以下となる。一方、乳酸菌添加を行うことにより、水分含量27.5%で乳酸含量が増加、pHは4以下となる(図3)。
  4. 従来の乾燥調製のコストは約31円/kgと試算される(資材費・人件費・乾燥費・冷蔵保管費・その他光熱水費等含む)が、本技術では特に乾燥費、冷蔵保管費が掛からないため、調製コストは約21円/kgとなり約34%のコスト削減が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農協生産者、普及機関
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:都府県のライスセンターおよびTMRセンター等
  3. その他:破砕処理においては飼料米破砕機(株式会社デリカ、破砕ロール間隔0.5mm)、プレスパンダ(関西産業株式会社)および玄米として利用可能な飼料用米脱皮・破砕機(株式会社大竹製作所)が市販機として利用可能である。本データは小規模サイロでの結果であるが、フレコンバッグサイレージ(200リットル容:n=6)においてもpH4以下、乳酸含量1.3% FM以上の良質サイレージが調製できることを確認している。また、籾殻を取り除いた玄米においても、同等の発酵品質が得られており、同様の調製法が有効である。

*2009成果情報:飼料用米の澱粉の第一胃内分解特性は品種および加工法により異なる
図表1 236022-1.png
図表2 236022-2.png
図表3 236022-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2012/120c6_01_14.html
カテゴリ 加工 乾燥 コスト 飼料用米 長期保存・貯蔵 低コスト とうもろこし 品種

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