黒斑病・黒星病複合抵抗性を持つ良食味のニホンナシ新品種「ほしあかり」

タイトル 黒斑病・黒星病複合抵抗性を持つ良食味のニホンナシ新品種「ほしあかり」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 1997~2014
研究担当者 齋藤寿広
澤村豊
高田教臣
壽和夫
西尾聡悟
平林利郎
佐藤明彦
正田守幸
加藤秀憲
寺井理治
樫村芳記
尾上典之
西端豊英
鈴木勝征
内田誠
発行年度 2014
要約 「ほしあかり」は、黒斑病と黒星病に対して複合抵抗性を持つ、やや早生で良食味のニホンナシ新品種である。殺菌剤無散布圃場での栽培でも両病害の発生は認められず、減農薬栽培や黒星病の多発する年次・地域においても安定生産が期待される。
キーワード ニホンナシ新品種、黒斑病・黒星病複合抵抗性、良食味
背景・ねらい ニホンナシ栽培において、黒斑病と黒星病は最も重要な病害である。主要な経済栽培品種は、「二十世紀」を除き黒斑病には抵抗性であるが、黒星病にはすべて罹病性であり、抵抗性品種の育成が強く求められている。ニホンナシでは在来品種「巾着」が黒星病に対して抵抗性を示す。そこで、「巾着」を育種母本として黒斑病と黒星病の双方に抵抗性を示す良食味品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 1997年に農林水産省果樹試験場(現 農研機構果樹研究所)において黒斑病・黒星病複合抵抗性の育成系統314-32(「巾着」×「豊水」)に「あきあかり」を交雑し、得られた実生から選抜した。2007年から2013年までナシ筑波56号としてナシ第8回系統適応性検定試験に供試してその特性を検討し、2014年2月の同試験成績検討会において新品種候補とした。2014年7月11日に品種登録出願し、12月4日に出願公表された。
  2. 「幸水」、「豊水」よりも樹勢は弱く、枝の発生量はやや少ない(表1)。短果枝の着生は多、えき花芽の着生はやや多く、花芽の確保は容易である。開花中央日は「幸水」より3日、「豊水」より2日早い。収穫中央日は8月31日で、「幸水」と「豊水」の間に収穫される。
  3. やや楕円形の赤ナシで、明瞭な条溝が認められる(図1)。果実の大きさは385gで「幸水」と同程度である(表2)。果肉硬度は「幸水」よりも低く、果肉は軟らかい。果汁の糖度は14.2%で「幸水」、「豊水」より高い。pHは5.1で酸味は感じない。心腐れの発生がわずかに見られるが、みつ症の発生は見られない(表2)。
  4. 殺菌剤無散布圃場で黒斑病と黒星病いずれの被害も認められない。さらに、黒星病の接種検定では、複数年にわたって病徴が見られない(表3)ことから、両病害に対して複合抵抗性を持ち、これらを対象とした殺菌剤散布の軽減が期待できる。S 遺伝子型はS5Skで、いずれの主要品種とも交雑和合性を示すと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:ニホンナシ生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国のニホンナシ栽培地帯で栽培可能であり、「幸水」と「豊水」の間に収穫される殺菌剤散布軽減が期待できる品種として有望である。(許諾苗木生産業者数:12県、33業者)。
  3. その他:苗木販売は2015年秋季から開始予定。果実に発生する明瞭な条溝とそろいが不良である点が外観上の、また樹勢が弱く樹冠拡大が遅いことが栽培上の問題として多くの場所からそれぞれ指摘されている。赤星病には罹病性であるため、防除が必要である。複数の場所において夏季の早期落葉が報告されている。その原因等について検討が必要である。
図表1 237019-1.jpg
図表2 237019-2.jpg
図表3 237019-3.jpg
図表4 237019-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2014/14_031.html
カテゴリ 病害虫 育種 黒星病 新品種 抵抗性 抵抗性品種 苗木生産 農薬 品種 防除 良食味

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