製パン性に優れ、多収のパン用小麦新品種「せときらら」

タイトル 製パン性に優れ、多収のパン用小麦新品種「せときらら」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2006~2012
研究担当者 高田兼則
谷中美貴子
石川直幸
池田達哉
船附稚子
発行年度 2012
要約 小麦「せときらら」は、製パン性に優れ、多収である。日本めん用小麦品種「ふくほのか」に製パン性が向上する高分子量グルテニン遺伝子Glu-D1d、低分子量グルテニン遺伝子Glu-B3h、硬質性遺伝子Pinb-D1cを導入した準同質遺伝子系統である。
キーワード コムギ、パン、多収、準同質遺伝子系統
背景・ねらい 食料自給率向上のため日本めん用小麦に加えて、パン・中華麺用小麦の作付拡大が求められている。温暖地西部ではパン用小麦品種「ニシノカオリ」や「ミナミノカオリ」が栽培されているが、「ニシノカオリ」はパン用の輸入小麦銘柄に比べて製パン性が劣り、また日本めん用小麦品種に比べて収量が低い。「ミナミノカオリ」は製パン性が向上したが輸入小麦には及ばない。栽培上では赤かび病や穂発芽に弱いという問題がある。
そこで、日本めん用小麦並の栽培性と「ミナミノカオリ」以上の製パン性をもつ温暖地西部に適した小麦品種を育成する。
成果の内容・特徴 小麦「せときらら」は、2006年度(2006年8月)に栽培性と製パン性に優れるパン用小麦の育成を目標として、「ふくほのか」(中国151号)にグルテンの強さGlu-D1d1)、グルテンの伸展性Glu-B3h2)および硬質性Pinb-D1c3)に関係する遺伝子を導入するため、中国151号*9/AC Domain2)//中国151号*9/AC Domain1)のF1と中国151号*9/AC Domain1)//中国151号*9/北見春63号3)のF1を交配しDNAマーカーによって選抜・育成した「ふくほのか」の準同質遺伝子系統である。2012年度の世代は雑種第9代(F9)である。
注)1) 2) 3)は各遺伝子を選抜した交配母本を示す。

育成地では「ニシノカオリ」と比較して次のような特徴がある。
  1. 出穂期は2日早く、成熟期は同程度の早生種である(表1)。
  2. 穂数は同程度で、穂長は長く、多収である(表1)。
  3. 穂発芽性や赤さび病の抵抗性は同程度である。赤かび病は同程度だが、山口県の発病程度ではやや強い。うどんこ病には弱い(表1)。
  4. 千粒重は同程度、容積重はやや高く、外観品質は優れる(表1)。
  5. 製粉歩留とミリングスコアは高く製粉性に優れる(表1)。
  6. 蛋白質含有率やファリノグラムの吸水率は低いが、小麦粉生地の強さの指標のバロリメーターバリュウは同程度である(表1)。
  7. 中種法による製パン試験では、パン比容積やパン評価点が高く、製パン性は「ミナミノカオリ」よりも優れる。山口県産では「ニシノカオリ」よりも優れる。(表2、図1)。
  8. アミロース含有率はやや低く、アミログラムの最高粘度が高く、ブレイクダウンが大きいやや低アミロース小麦である。
成果の活用面・留意点
  1. 多収のため蛋白質含有率が低くなりがちなので品質評価の基準値の蛋白質含有率を得られるように実肥施用を励行する。
  2. 2013年に山口県で「ニシノカオリ」に替えて奨励品種に採用予定である。
図表1 236213-1.png
図表2 236213-2.png
図表3 236213-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2012/112d0_01_13.html
カテゴリ うどんこ病 小麦 新品種 DNAマーカー 抵抗性 品種

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