水稲多収品種「タカナリ」の高光合成能に関与するQTL-GPSの遺伝子単離

タイトル 水稲多収品種「タカナリ」の高光合成能に関与するQTL-GPSの遺伝子単離
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2008~2013
研究担当者 高井俊之
荒井裕見子
吉永悟志
近藤始彦
安達俊輔
矢野昌 裕
山本敏央
平沢正
大川泰一郎
発行年度 2013
要約 水稲多収品種「タカナリ」が有する高光合成能QTL-GPS は、葉の形態を制御する遺伝子NAL1 の変異型であり、葉身の葉肉細胞数を増加させることで光合成能を高める。
キーワード イネ、個葉光合成能、QTL、マップベースクローニング、葉肉細胞
背景・ねらい イネの収量性の向上には、シンク容量に加えて光合成能などのソース能の向上が必要である。多収品種「タカナリ」は個葉光合成能が高く、その遺伝的要因の1つとして第4染色体長腕にQTL-GPS が検出されているが、候補遺伝子は単離・同定されていない。本研究では、「タカナリ」と「コシヒカリ」の交雑由来遺伝解析材料を用いてGPS の候補遺伝子を単離・同定し、高光合成能に関わるメカニズムを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 組換え固定系統を用いたマップベースクローニングにより、 InDel_4_135とInDel_4_105の間の23.5kbが「タカナリ」型である系統は「コシヒカリ」型よりも個葉光合成速度が増加する(図1)。
  2. 候補領域23.5kbには候補遺伝子が3つ存在するが、そのうちの1つであるNAL1 の形質転換体はコントロールの「コシヒカリ」よりも発現量が低下し、個葉光合成速度は増加する(図2)。
  3. GPS の「コシヒカリ」背景準同質遺伝子系統(コシヒカリNIL-GPS )は「コシヒカリ」よりも葉身の葉肉細胞数が増加することで葉厚が増し、「タカナリ」背景準同質遺伝子系統(タカナリNIL-GPS )は「タカナリ」よりも葉肉細胞数が減少し葉厚が減少する(図3)。
  4. 以上より、GPS の原因遺伝子はNAL1 であり、「タカナリ」の高光合成能に関わる要因の1つは葉身の葉肉細胞数の増加に伴う葉の厚みである。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝子マーカー化により、高光合成系統の効率的な選抜が可能になり、育種に活用できる。
  2. 単位葉面積当たりの光合成速度に関わる遺伝子の単離であるため、群落レベルの光合成能や収量性への寄与は別途検証が必要である。
図表1 236456-1.jpg
図表2 236456-2.jpg
図表3 236456-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nics/2013/nics13_s02.html
カテゴリ 育種 GPS 水稲 品種

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