ニホングリ易渋皮剥皮性を判別するDNAマーカー

タイトル ニホングリ易渋皮剥皮性を判別するDNAマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 西尾聡悟
高田教臣
山本俊哉
寺上伸吾
林 武司
澤村 豊
齋藤寿広
発行年度 2013
要約 開発した6種類のマーカーはニホングリの易渋皮剥皮性と強く連鎖する。これらのマーカーを用いた遺伝子型解析の結果、易渋皮剥皮性は在来品種の「乙宗」に由来する。マーカーおよび遺伝子型情報を利用して、易渋皮剥皮性個体の早期選抜が可能である。
キーワード クリ、渋皮剥皮性、DNAマーカー、早期選抜
背景・ねらい 2007年に渋皮の剥皮が優れる品種「ぽろたん」が登録されて以降、「ぽろたん」と同様に易渋皮剥皮性をもつ品種が求められており、クリ育種において本形質が最重要となっている。これまでに実生集団を用いた遺伝解析より、易渋皮剥皮性は劣性の主働遺伝子(p)により支配され、劣性ホモ個体が易渋皮剥皮性を示すことが明らかになっている。従来の方法による渋皮剥皮性の評価は果実を結実させる必要があり、評価を行うまでに少なくとも3年の年月を要する。一方DNAマーカーによる評価は、幼苗段階で判定を行うことができるため、圃場を有効に利用し育種規模を拡大することができる。そこで、易渋皮剥皮性に連鎖するDNAマーカーを開発し、早期選抜を行うことで育種を効率化することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 公開データベースに登録されている378種類のクリのSSRマーカーを用い、550-40×「丹沢」の集団69個体の連鎖解析を行った結果、6種類のDNAマーカーは易渋皮剥皮性と強く連鎖する(図1)。
  2. 本マーカーを用いて「ぽろたん」の家系の遺伝子型を解析した結果、易渋皮剥皮遺伝子は在来品種の「乙宗」に由来し、「乙宗」に加えて、550-40、「丹沢」、「国見」が易渋皮剥皮遺伝子をヘテロ(Pp)に、「ぽろたん」が易渋皮剥皮遺伝子をホモ(pp)にもつ(図2)。その他のニホングリ品種についても、渋皮剥皮性の遺伝子型(PpまたはPP)を判定することが可能であり、育種の際に易渋皮剥皮遺伝子をもつ交雑親を効率的に選択することができる。
  3. 遺伝子型情報を基に交雑親を選択し、得られた実生の遺伝子型を本マーカーにより判定することで、渋皮剥皮性の早期選抜が可能である。
  4. DNAマーカー選抜は易渋皮剥皮遺伝子に最も隣接した両側の2マーカー(PRD52とPEB62またはPRB25)を用いて行うのが望ましい。しかし、品種により適切な多型が得られず、これらのマーカーが使用できない場合は、より外側のマーカー(PEB102、PRB28、PRD58)を用いて選抜を行うことができる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:クリ育種を行う試験研究機関、民間の育種家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:DNAマーカーは複数の研究機関で利用されることが見込まれる。易渋皮剥皮性の遺伝子型情報は研究機関に加えて、民間育種においても利用されることが想定される。
  3. その他:農研機構果樹研究所では、他の研究機関に先立って本マーカーを利用しており、これまでの3年間で2,368の実生から792の実生をマーカー選抜している。開発したマーカーはSSRマーカーであり、アガロースゲルを用いた検出では長さの差がわずかな増幅バンドを誤って判定する可能性があるので、遺伝子型の解析および判定にあたってはDNAシーケンサーを用いるのが望ましい。
図表1 236468-1.jpg
図表2 236468-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2013/13_031.html
カテゴリ 育種 くり データベース DNAマーカー 品種

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