園地でウンシュウミカン葉の水ポテンシャルを推定する携帯型の測定装置

タイトル 園地でウンシュウミカン葉の水ポテンシャルを推定する携帯型の測定装置
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究期間 2011~2013
研究担当者 中山夏希
吉永慶太
窪田陽介
重松健太
山下貴史
小林研
星典宏
根角博久
発行年度 2013
要約 ウンシュウミカンを対象に、樹体に着生状態の葉のヤング率を非破壊で計測し、このヤング率から水ストレスの指標に用いられる水ポテンシャルを園地で迅速かつ簡易に推定できる携帯型の測定装置である。
キーワード ヤング率、水ポテンシャル、かん水管理、非破壊計測、ウンシュウミカン
背景・ねらい ウンシュウミカンの栽培では、樹体に適度な水ストレスを与えて果実の糖度を高める高品質果実の栽培技術が普及している。この技術では、水ストレスの指標として用いられる水ポテンシャル(以下、WP)を一定範囲(葉の最大WPを-0.7~-1.0MPa程度)にかん水管理するため、かん水時期を的確に判断する必要がある。現状は、測定用の圧力容器と窒素ガスを用いて採取した葉のWP を計測する方法(プレッシャチャンバ法)があるが、園地に簡易に持ち込むのが困難かつ計測に手間と経験が必要とされる。そこで、園地にて非熟練者でも迅速かつ簡易にWP が推定できるように、樹体に着生した葉を非破壊で直接計測し、葉の硬さの程度を示すヤング率(弾性率)を求め、このヤング率からWP を推定できる測定装置を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 開発した携帯型の測定装置は、センサユニット、制御ユニットから構成される(図1、表)。センサユニットは、圧縮部分の先端径φ2.5mmのロードセル、リニアアクチュエータ、スタートスイッチおよび計測結果等を表示するための液晶画面から構成される。制御ユニットは、モータ制御および計算処理用のマイコン、データ保存用のSDカードおよびリチウムポリマバッテリ等から構成される。測定装置は肩掛け利用が可能なサイズおよび質量である。
  2. 新梢葉1枚をセンサユニットに挿入し、スタートスイッチを押すと、装置が葉を圧縮する動作を開始する。測定は一次および二次葉脈を避けた部位とするため、これを視認できるよう、葉の裏側から圧縮を行う。圧縮時は、ヤング率算出に用いる荷重および移動量を測定し、葉を押す圧力が、設定値に達すると圧縮を停止する。続いて、測定値から計算処理を行い、ヤング率およびWPの推定値、またヤング率算出に用いた葉厚の計測値を液晶画面に表示するとともにSDカードに保存する。加えて、計測後にデータ検証が行えるように、荷重および移動量の逐次データも保存する。1回の計測に要する時間は25秒程度である。
  3. 一連の測定動作および計算処理がスタートスイッチを押すだけで自動的に計測できる。また、葉を損傷することなく非破壊で計測できる。
  4. 測定装置により得られたヤング率とプレッシャチャンバ法で測定したWPの相関係数は0.81、標準誤差は0.12(23樹体)となり(図2)、両者に相関が確認されたことから、ヤング率から樹体の水ポテンシャルが推定できる。
成果の活用面・留意点
  1. 本測定装置を用いて園地で簡易にウンシュウミカン葉のWPの推定が可能となる。
  2. 計測は午前4時~日の出前に行う。
  3. 計測時間の一層の短縮化をはかるため、1樹体当たりの適正な測定枚数について検討する必要がある。
図表1 236738-1.jpg
図表2 236738-2.jpg
図表3 236738-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2013/brain13_s02.html
カテゴリ 温州みかん 栽培技術 水管理

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