寒冷地の冬季屋外飼養は黒毛和種繁殖雌牛の生産性や健康に影響を与えない

タイトル 寒冷地の冬季屋外飼養は黒毛和種繁殖雌牛の生産性や健康に影響を与えない
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2011~2014
研究担当者 深澤 充
佐々木正俊
小松篤司
東山由美
福重直輝
池田堅太郎
及川 修
須藤知生
佐藤 真
高畑博志
発行年度 2014
要約 寒冷地での黒毛和種繁殖雌牛の冬季屋外飼養は、屋内飼養と比較して母牛の繁殖成績、血液中の免疫関連成分および子牛の成長に差が無い。また、屋外飼養によって作業時間が短縮される。
キーワード 冬季屋外飼養、黒毛和種繁殖雌牛、作業時間、パンフレット
背景・ねらい 東北地方における黒毛和種繁殖雌牛飼育農家の増頭を制限する要因として、冬期間の牛舎の収容頭数が飼養頭数の上限になっていることが挙げられる。牛は耐寒性に優れた家畜ではあるものの、冬季の屋外飼養に対して農家が牛の生産性や健康などに抱く不安は大きく、普及の障害になっている。本研究では、冬季の屋外飼育における作業時間や牛の生産性および疾病に関連すると考えられる免疫関連成分の動態を調査し、冬季屋外飼育に対する農家の不安を解消する情報を集積する。
成果の内容・特徴
  1. 寒冷積雪地域である岩手県盛岡市藪川地区(1981-2010年の1月平均気温:-6.9°C)において、冬季屋外飼育雌牛の分娩後の繁殖成績には屋内飼育で分娩した雌牛との間に差がない。また生まれた子牛の成長についても、屋内飼育で分娩した雌牛から生まれた子牛と差がない(表1)
  2. また、冬季屋外飼育にすることで、全体の作業時間は屋内飼育時の1/2から1/3に削減される。牛舎内の掃除(除糞と敷料交換)が省かれることから、省力化に加えて燃料や敷料の節約にもなる(図1)。
  3. 寒冷積雪地域である盛岡市(同-1.9°C)において、最も寒い時期に、屋内から屋外飼育へ移行した際でも、黒毛和種繁殖雌牛の免疫グロブリンG、好中球/リンパ球比率、白血球数、および好中球貪食能などの疾病に関連すると考えられる免疫関連指標は屋内飼育と屋外飼育で差が認められない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:黒毛和種繁殖農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北東北地域の垂直積雪量が1.5 m程度以下の地域
  3. その他:
    ・寒冷下における栄養要求量の増加については日本飼養標準を参照のこと。
    ・融雪時に給餌場や水場の泥濘化が進行することから、あらかじめ泥濘化対策を施しておくことが望ましい。
    ・寒冷地では水場の凍結の危険性があることから、掛け流しできる水源を確保する。
    ・研究結果に加えて、先行して実施している農家の感想なども盛り込んだパンフレット(図2)を作成し情報広報課(019-643-3414)にて配布。
図表1 237248-1.jpg
図表2 237248-2.jpg
図表3 237248-3.jpg
図表4 237248-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2014/14_023.html
カテゴリ 省力化 耐寒性 繁殖性改善

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