バンカー植物を用いた捕食性天敵タバコカスミカメ利用技術マニュアル

タイトル バンカー植物を用いた捕食性天敵タバコカスミカメ利用技術マニュアル
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2012~2015
研究担当者 日本典秀
安部順一朗
長坂幸吉
守屋成一
後藤千枝
矢野栄二
飛川光治
綱島健司
川村宜久
西優輔
土田祐大
中野亮平
土井誠
片井祐介
石川隆輔
影山智津子
坂口優子
天野喜也
下元満喜
中石一英
安達鉄矢
塩田英二
山﨑真弓
井上洋子
手塚俊行
小原慎司
発行年度 2015
要約 バンカー植物としてスカエボラとバーベナを利用することで、捕食性天敵であるタバコカスミカメの密度を安定して維持することが可能になり、キュウリのアザミウマ類とトマトのコナジラミ類を低密度に抑制できる。
キーワード タバコカスミカメ、バンカー植物、アザミウマ類、コナジラミ類、密度管理
背景・ねらい キュウリのアザミウマ類、トマトのコナジラミ類は薬剤抵抗性を発達させているため、天敵昆虫類による防除技術の確立が求められているが、従来の天敵では防除効果が不十分である。土着天敵であるタバコカスミカメNesidiocoris tenuisは比較的大型で捕食量が多く、植物のみを餌としても発育・増殖できる特性を備えているため、害虫の低密度時でも施設内で維持が可能であり、高い害虫密度抑制効果を得られると期待される。
そこで、キュウリとトマトの施設栽培で利用可能な本種のバンカー植物種の選定と管理手法の開発により本種の維持増殖を可能にし、キュウリのアザミウマ類、トマトのコナジラミ類防除技術を開発するとともに、これらをマニュアル化する。
成果の内容・特徴
  1. 開発したキュウリのアザミウマ類、トマトのコナジラミ類を対象害虫とする、バンカー植物を利用したタバコカスミカメによる防除技術はマニュアルとして閲覧可能である(図1)。これらは、研究者向けのマニュアルと、普及関係者および生産者向けにキュウリ、トマトに絞って編集した普及マニュアルの合計3編で構成される。
  2. タバコカスミカメはスカエボラおよびバーベナ「タピアン」で維持増殖が可能であり、これらのバンカー植物をキュウリおよびトマトの施設内に混植することにより、タバコカスミカメの密度を安定的に維持できる。
  3. タバコカスミカメは、キュウリ・トマトの定植後速やかに放飼を行うことで、害虫侵入直後から防除効果を発揮できるため、防除効果が高い(図2、3)。
  4. マニュアルには、タバコカスミカメに対する化学農薬への影響および他の天敵との併用についても記述しており、既存のIPM体系に容易に導入可能である。
  5. バンカー植物を設置しない場合も、タバコカスミカメを株あたり0.5頭の密度で3~5回放飼すれば、十分な防除効果が得られる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:都道府県試験研究機関・普及指導機関、生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の施設栽培のキュウリ、トマト(大玉に限る)
  3. その他:本技術をまとめたマニュアルは、農研機構のサイト(発表論文等参照)からダウンロードできる。本種は現在農薬登録申請中であり、登録後速やかに販売開始予定だが、販売されるまでは特定農薬としての利用が可能である。また、タバコカスミカメの密度が高いほど害虫防除効果が高いが、害虫密度が低い時は、作物を吸汁することがあり、キュウリでは傷果、トマトでは茎にリング状の褐変が生じる場合があるので注意する。これについての対策もマニュアルを参考にする。また、ミニトマトでは着花数・着果数が著しく減少するため、利用できない。
図表1 237359-1.jpg
図表2 237359-2.jpg
図表3 237359-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2015/15_047.html
カテゴリ 病害虫 害虫 きゅうり 栽培技術 施設栽培 タバコカスミカメ 抵抗性 特定農薬 土着天敵 トマト 農薬 バーベナ 防除 ミニトマト 薬剤

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