牛白血病ウイルスの牛舎内伝播防止には分離飼育が有効である

タイトル 牛白血病ウイルスの牛舎内伝播防止には分離飼育が有効である
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2010~2015
研究担当者 小林創太
筒井俊之
山本健久
早山陽子
室賀紀彦
小西美佐子
亀山健一郎
村上賢二
発行年度 2015
要約 牛白血病ウイルス(BLV)感染農場において、BLV感染牛が隣接配置された非感染牛は、隣接配置されていない非感染牛よりも感染しやすいことが確認されたことから、BLVの農場内伝播防止には感染牛と非感染牛を牛舎内で分離飼育することが有効である。
キーワード 牛白血病ウイルス、農場内伝播、コホート研究
背景・ねらい 牛白血病の発生数は、農林水産省による統計が始まった1998年以来増え続けていることから、その原因となるBLVのまん延防止対策の確立が急務となっている。BLVの伝播経路としては吸血昆虫による媒介や、直腸検査手袋や注射針の連続使用等があり、既にこれらの対策については有効性が検証されている。一方、従来BLV感染牛と非感染牛を牛舎内で分けて飼育することが推奨されてきたが、牛の飼養環境における効果の検証はされていない。そこで本研究では、BLV感染酪農場において、牛舎内の牛の配置に注目し、定期的な抗体検査を実施することによって、調査開始時点で非感染であった牛の感染成立を追跡調査する。BLV感染牛との隣接による感染リスクを実証することは、BLV感染牛との分離飼育を推奨する上での科学的根拠の一つとなる。
成果の内容・特徴
  1. つなぎ飼いを採用しているBLV感染酪農場6戸由来の245頭のホルスタイン牛のうち、134頭の非感染牛を調査対象とする。このうち、53頭は感染牛に隣接配置し(曝露群)、残りの81頭はBLV感染牛に隣接配置していない(非曝露群)。
  2. エライザ法による定期的な抗体検査を実施すると、図1に示すとおり、曝露群では非曝露群より早く感染が成立する。
  3. 最大29ヶ月までの観察期間において、最終的に感染が成立したのは曝露群、非曝露群でそれぞれ11頭(20.8%)、3頭(3.7%)である(表1)。
  4. 各非感染牛の年齢等の情報も考慮した統計学的解析の結果、非曝露群に対する曝露群のハザード比(感染のしやすさ)は12.4となり、有意に高い(p=0.001)(表2)。すなわちBLV非感染牛は、隣にBLV感染牛がいない場合に比べて、隣に感染牛がいる方がより感染が成立しやすい。
  5. 以上の結果から、BLV感染農場におけるBLV伝播防止対策の一つとして、感染牛と非感染牛を分離飼育することが有効といえる。
成果の活用面・留意点
  1. BLV感染農場において感染牛と非感染牛の分離飼育を指導する際の参考になる。
  2. 非感染牛の感染のしやすさは、同居感染牛が保有するウイルス量などによって異なる可能性がある。
図表1 237737-1.gif
図表2 237737-2.gif
図表3 237737-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2015/niah15_s20.html
カテゴリ 乳牛

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