短稈で耐倒伏性に優れ飼料用米生産に適した水稲新品種候補系統「みなちから」

タイトル 短稈で耐倒伏性に優れ飼料用米生産に適した水稲新品種候補系統「みなちから」
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2005~2015
研究担当者 中込弘二
出田収
重宗明子
松下景
春原嘉弘
石井卓朗
前田英郎
飯田修一
発行年度 2015
要約 水稲「みなちから」は、温暖地西部において出穂期は"中生"、成熟期は"やや晩生"に属する縞葉枯病抵抗性の粳系統である。大粒で玄米外観品質が劣り、一般食用品種との識別性がある。短稈で耐倒伏性に優れ、粗玄米収量が多いため飼料用米生産に適する。
キーワード 水稲、飼料用米、飼料イネ、短稈、多収
背景・ねらい 国際的な飼料価格の高騰から国内で生産可能な飼料用米への注目が高まっている。温暖地西部での生産に適した品種として、飼料用米・稲発酵粗飼料兼用の「ホシアオバ」、「クサノホシ」、インド型の「北陸193号」、「タカナリ」、「もちだわら」などが育成されている。しかし、長稈である飼料用米・稲発酵粗飼料兼用品種やインド型品種は、成熟期以降に倒伏しやすいものが多い。そこで、短稈で耐倒伏性に優れ、飼料用米生産に適した多収品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「みなちから」は、耐倒伏性に優れる中間母本系統「関東PL12」を母に、粗玄米の収量性が高い「関東飼226号(後の「モミロマン」)」を父とする交配後代より育成した品種である(表)。
  2. 普通期移植栽培での出穂期は「ホシアオバ」より3日遅く育成地(瀬戸内沿岸部)では"中生"に属する(表)。登熟日数が長く、成熟期は「ホシアオバ」より9日程度遅く「北陸193号」並で"やや晩生"に属する粳種である(表)。
  3. 稈長は、「ホシアオバ」より26cm、「北陸193号」より9cm短い"短稈"で、耐倒伏性は「ホシアオバ」より強い"かなり強"であり、成熟期以降も倒伏せず「北陸193号」より強い(表)。また、直播(表面散播)栽培でも倒伏は見られず直播栽培にも適する(表、図1)。
  4. いもち病真性抵抗性遺伝子Pibを持つと推定され、圃場抵抗性は葉いもちが"強"である(表)。縞葉枯病には"抵抗性"であり、白葉枯病抵抗性は"やや弱"である。脱粒性は"難"である。
  5. 粗玄米収量は、「ホシアオバ」より9%多く、「北陸193号」より7%少ない。籾千粒重は30g程度、玄米千粒重は25g程度で、粒大は"大粒"であり、外観品質は"下中"で劣ることから、一般食用品種との識別性がある(表、図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 栽培適地は温暖地西部以南の平坦地である。香川県、山口県、岡山県、佐賀県などで200ha以上の普及が見込まれる。
  2. 登熟日数が長いため、登熟期間の温度や日数を十分に確保できる地域や作型で栽培する必要がある。
  3. トリケトン系4-HPPD阻害型除草成分(ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、メソトリオン)に感受性が高いため、それらを含む除草剤は使用しない。
図表1 237837-1.gif
図表2 237837-2.gif
図表3 237837-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2015/warc15_s06.html
カテゴリ 病害虫 いもち病 直播栽培 縞葉枯病 除草 除草剤 飼料用米 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種

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